塾講師で学んだ、人材育成のポイント(解説編 Part 1)

大学生の時、塾講師のバイトをしていました。当時、講師としていろいろなことを学びましたが、今思い返してみると、それは一般的な組織のリーダーや上司になるために役に立つことでした。そのことは、前回の記事「塾講師で学んだ、人材育成のポイント(事例編)」を読むだけでも分かると思いますが、もう少しポイントを整理してみたいと思います。

※ちょっと長くなりすぎたので、2つに分けます(苦笑)まずは、解説編 Part 1 です。

前回の記事「塾講師で学んだ、人材育成のポイント(事例編)」を読んでいない方は、まずそちらをお読みください。

ポイント1:部下とは適度な距離を置く

塾講師になりたての頃、私は生徒たちの仲間になろうとしました。先輩の講師が楽しそうにやっているのを見て、自分もあんなやりとりができたらいいなと、気に入られるようなことをしました。

でも、結果はなめられました。ワイワイ盛り上がるのはいいのですが、まとめることができません。彼らに近づきすぎて、本当に仲間みたいになってしまったのです。距離が近すぎました。でも、それでは指導もできませんし、統率することもできません。

仲良くなろうとして失敗した私は、鬼の講師になります。ひたすら厳しく、びしびしやりました。間違えた生徒には容赦しませんでした。生徒から嫌われてもいい。仲間になろうなんていう気はさらさらなく、厳しい、鬼講師になろうとしました。

その結果、確かに授業に緊張感が生まれました。少々びくびくしているような様子もあります。作戦成功です。でも、同時に生徒を萎縮させました。元々あまり自信のない生徒が、さらに自信をなくすようなコトをしてしまいました。できなければ叱る、こんなコトもできないのかと傷つける、そんなことをしていたのですから当たり前です。

緊張感は生まれましたが、講師と生徒の信頼関係もできませんでした。ただ単に怖い、厳しい講師になっただけでした。

このあたりのことって、初めてリーダーになったり、部下を持ったりしたときに陥りやすい落とし穴ではないでしょうか。

部下に嫌われないようにしてなめられたり、厳しくしすぎていい関係がつくれなかったり。

うまくいい関係をつくるためには、一定の距離を保ちつつ、きちんと役割を果たすことです。どんなにいい人であっても、リーダーとして上司としての役割をきちんと果たしてくれない人には、部下はついてきません。信頼もしません。

塾講師でいえば、きちんと成績が上がる指導をすることです。それができて初めて、講師と生徒の信頼関係が生まれるのです。それができていないのに、講師と生徒の関係という枠にとらわれず仲良くしようとしても、あるいは講師らしく厳しく指導する側に立とうとしても、どちらもうまくいくはずがないのです。

では、上司(リーダー)としての役割とは何でしょうか。

ポイント2:部下の成長を助ける

いろいろな役割があると思いますが、一つ重要なのは、部下が成長することを助けることです。指導することもその一つですし、経験を積ませてスキルアップさせることもそうでしょう。

重要なのは、ただ「指導する」とか「教える」とか「注意する」とか「評価する」とか、何かをすればいいというわけではないということです。

何かをした結果、部下が成長することが重要です。

いくら指導しても、部下が成長しないのであれば、それは成長を助けたことにはなりません。

いくら熱心に教えても、部下が成長しないのであれば、それは成長を助けたことにはなりません。

ダメな点を注意しても、部下が成長しないのであれば、それは成長を助けたことにはなりません。

繰り返しになりますが、何かをすることが重要なのではなく、部下の成長につながるかどうかが重要です。

部下の成長につながっていない「指導」は、意味のない「指導」です。単なる自己満足でしかありません。

何をどうすれば部下の成長につながるのかは、ひと言では語れません。そんなに簡単なことではありません。それでも、それができている上司、リーダーが部下から認められるのです。信頼されるのです。

「この人について行けば自分は成長できる」

そう感じれば、部下はついてきます。一緒に頑張ろうと思ってくれます。

じゃあ、どうすればそう感じてもらえるのか。

ポイント3:経験に基づいた正しいやり方を伝授する

指導にはいろいろなやり方がありますが、一番いいと思うのは、正しいやり方、うまくいくやり方を具体的に、細かく教えるということです。

当たり前のようですが、実際はそうじゃない指導が普通に行われています。たとえば、ちょっと違うことをやってしまったときに「それはダメだ」と指摘する方法。失敗してしまったことを責めるような指導。

どちらも、正しいやり方を身につけるために必要な指導のように思えます。もちろん、時にはこういう指導も必要ですが、メインはこれではないと思います。あくまでも、正しいやり方、うまくいくやり方を教える。失敗しないように先回りして、注意すべきポイントを教える。これが重要だと思います。

上司やリーダーになるぐらいですから、いろいろな経験を積んでいるはずです。失敗もたくさんしているでしょう。その経験から、どうしたら失敗しないか、どこに気をつけたらいいのかを教えるのです。

塾の講師の例でいうと、計算問題を暗算でやるな、ということがあります。暗算でやろうとすると、大抵どこかで間違えるので、簡単な計算問題であっても、そのプロセスを一つひとつ書きながら、ていねいに解いていく。そうすると、単純なミスがなくなり、確実に正答率が上がります。当たり前のことなんですけど、みんながそうするとは限らない。いちいち書き出すのは面倒くさいので楽しようとするんです。で、失敗する。誰でも分かることなんですけど、やるんです。

ですから、そうならないように、どうしてそうするのかを説明しつつ、やり方を教えます。

「面倒くさいからといって暗算すると、プラスとマイナスを間違えたり、ちょっとしたミスを必ずやってしまうからね。一つの間違い、、、たった一つプラスとマイナスを間違えただけでも正解にはならないからね。だから、面倒くさくてもきちんと書き出しながらやろう」

これを何度も言っておくと、素直な子は教えをきちんと守って、きちんと正解します。まあ大丈夫だろうと自分で思っている生徒は、やらかします。でも、何度も言っているので、「ああ、いわれた通りにやればよかった」と反省して、次からきちんとやるようになります。

それでもやらない生徒に対しては、もう一度指導が必要かもしれません。

でも、決して、「だから、暗算するなっていっただろ!」みたいなのはダメです。

なぜなら、生徒は最初から、暗算がダメなのは分かっているんです。分かっているのに楽をしようとして、暗算しちゃうんです。それで失敗するんです。分かっているのに。。。です。

そこに、「だから、暗算するなっていっただろ!」といっても、分かってるんですから意味はありません。

では、どうするか。

たとえば、たった一つ、プラスとマイナスを逆にしただけで、答えが正解ではなくなるということを、じっくりと示すのです。間違えた生徒を責めるのではなく、暗算をすると、こうやって間違えてしまうんだぞということを、見せつけるのです。間違えた生徒を叱ったり、責めたりするのではありません。あくまでも、一例として、こうやると失敗するぞという、失敗事例を見せるのです。あるいは、こうやるから失敗しないですむという成功事例を見せるのです。

そうすると、こうやると失敗する、こうすればうまくいくということが心に刻まれます。自分が責められたり、怒られたりしていると、責められていること、怒られていることに意識がいってしまって、その原因の方がお留守になってしまいます。結果として、怒られたとか、失敗したとかいう印象だけが強く残って、どうやったら失敗しないのかはあまり印象に残らなくなります。だから、何度も同じ失敗を繰り返すのです。

そのためには、どうすればうまくいくのかを、しっかりと示して、相手の心に刻み込むのです。

※まだ、結構続くので、今回はここまで。Part 2に続きます。

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