塾講師で学んだ、人材育成のポイント(解説編 Part 2)

大学生の時、塾講師のバイトをしていました。当時、講師としていろいろなことを学びましたが、今思い返してみると、それは一般的な組織のリーダーや上司になるために役に立つことでした。そのことは、前々回の記事「塾講師で学んだ、人材育成のポイント(事例編)」を読むだけでも分かると思いますが、もう少しポイントを整理してみたいと思います。

前々回の記事「塾講師で学んだ、人材育成のポイント(事例編)」を読んでいない方は、まずそちらをお読みください。

今回は、「塾講師で学んだ、人材育成のポイント(解説編 Part 1)」の続きです。

ポイント4:目標の実現に向けて、意欲を高める

人間誰でも、やる気がなくなってしまうことがあります。いくらまじめにやっていても、何でもかんでもうまくいくわけではありません。時には嫌になってしまうときもあります。

部下がそんな状態になったら、上司(リーダー)としてどうするべきか。

よくあるのは、「最近、たるんでるんじゃないか?気合い入れ直して、りっかりやれ!」というダメ出し。

これも悪くはないんですけど、多くの場合、自分でも分かってるんですよね。「最近、何だか気合い入らないんだよなぁ」とか、「何か、やる気なくなっちゃったなぁ」とか、「あ、うっかりしててミスしちゃったなぁ」とか。

その分かっているところに、「最近、たるんでるんじゃないか?気合い入れ直して、しっかりやれ!」といっても、効果はありません。なぜなら、本人もそれは分かっているからです。

本人も自覚していることを、そのままダメだししても、「ああ言われちゃった」「怒られちゃった」とか、その程度にしかなりません。これではあまり効果がありません。

それに、「最近、何だかやる気にならないんだよなぁ」と、少し落ち込み気味の時に、「最近たるんでるんじゃないか」といわれて、やる気になるでしょうか。怒られないように何とかしようとは思うでしょうが、それは根本的な解決になるでしょうか。

もちろん、その場しのぎでしかありません。

むしろ、無理して頑張ろう、何とか気合いを入れよう、とするので、エネルギーを無駄に消耗します。無理をしているので長続きしません。結局、また同じ失敗を繰り返します。もし、そこにダメ出しをすると、これはもう悪循環です。

「自分だって頑張ってやろうとしてるんだけど。。。」
「上司は何も分かっちゃいない。。。」
「いうだけなら簡単だけどさ。。。」

これでは、上司と部下の信頼関係は構築できません。少し構築できていたとしても壊れます。

部下の甘えのようにも思えますが、こう思わせてしまっている上司にも問題があります。

こうならないためには、部下が元気になるようなこと、意欲が高まること、頑張ろうと自然に思えるようなことをやらなければいけないのです。

ポイントは、「自然にそうなる」というところです。部下自身が、自分にむち打って、何とかするのではダメなんです。自然に頑張りたくなるよう、仕向けなければいけないのです。

「何となくやる気が出ない」→「うっかりしてミスをした」

こういうときは、ミスをしないよう、前向きに取り組む気になるよう働きかけます。

ダメなのは、繰り返しになりますが、ダメ出しです。ダメ出しをするとこうなります。

上司「たるんでるから、こんなことでミスするんだ!気合い入れていけ」
部下「はい、しっかりやります!!」

でも、心の中の本音は、

部下「ああ、やっぱりダメだ。。。怒られちゃった。。。何だか、落ち込むなぁ。仕事嫌になっちゃうなぁ」

こんな調子では、仕事がうまくいくはずもありません。

では、どうするか。

大きくいうと、2つのステップがあります。

一つは、マイナスの状態、落ち込んだ状態をフラットに戻すこと。

二つ目は、フラットな状態から、前向きに、積極的に取り組む気にさせること。

Step1:マイナスの状態、落ち込んだ状態をフラットに戻す

落ち込んでいる相手に、厳しいことをいってもうまくいきません。人にもよりますが、落ち込んでいるときは、同じ注意でも、より悪い、マイナスの受け止め方をします。そして、さらに追い込んでしまうのです。

ですから、落ち込んでいる相手には、何らかのプラスの要素を見つけて、前向きな気持ちを思い出させることが重要です。

たとえば、

「そういえば、○○社の△△さんが、お前のこと褒めてたぞ。いつも、ていねいに対応してくれて、細かいところに気を配ってくれるので助かるってさ。しっかりやってくれてるんだな」

と、本当に褒めるべきところ、プラスの要素を伝えます。

「でも、どうした?最近、少し細かいところでミスが多いんじゃないか?まあ、誰でも失敗はするもんだけどな。。。」

と、ダメなところを指摘します。頭ごなしに叱ってはいないので、部下も、素直に心を開いて、受け止めてくれるはずです。

「でも、うちの会社は、細かいていねいな対応が売りだからな。そこがしっかりできてないと、きちんと価値が提供できないよな」

分かっていることではあるはずですが、なぜそれをやらなければいけないのか、なぜそれが重要なのかを伝えます。分かっているはずのことをわざわざ伝えるのは、より深く心に刻むためです。

「また△△さんに喜んでもらえるよう、しっかりやってくれよ。そういえば、今度□□社の案件があったな。◆◆さんもうちを頼りにしてるからな。そっちも頼むぞ!」

○○社の△△さんが褒めてたという部下にとってもうれしいことを思い出させます。褒められるのは気持ちのいいものです。頑張れば、またいい気分になれることを部下に思い出させます。あるいは、そのいい気分だったことを甦らせます。

すると、少し前向きな気分になるので、次のステップを示します。褒めてくれていた○○社ではなく、別の□□社の案件のことです。◆◆さんが「頼りにしてる」とか、「頼むぞ!」という言葉で、部下への期待を伝えます。部下が、「上司は、自分ができると思ってくれているんだ」と思えるようなメッセージを伝えます。

こんな感じで、少し心が癒やされて、マイナスからゼロへと、また頑張ろうかなぁという気持ちに持って行きます。

Step2:前向きに、積極的に取り組む気にさせる ~ より高いレベルを目指す

マイナスな状態からゼロに戻ったら、次は、それをプラスに転じます。そのために示すのは、ビジョン、目標、夢。少し先の将来に実現したいことです。

それを示しつつ、そのためのまず一歩として、これをやろうという目標設定をします。

塾講師でいえば、「○○大学に合格する(これが将来実現したいこと)ために、まずは、この模試で上位30%に入ろう(まず第一歩の目標設定)」とか、もっと細かくすれば、「そのために今週中に、ここまで完璧にしよう」と目標を設定します。

ここで重要なのは、将来実現したいことは、社長だけが実現したいことではなく、上司だけがやりたいことではなく、社長も、上司も、部下も、もっといえば、協力会社、お客様にとっても実現したいようなことでなければならないということです。

部下は、共通の目標を目指す仲間です。指揮命令系統はあるでしょうが、上下関係というよりも、同士、仲間という感覚を大切にした方がよいでしょう。

一緒にこれを実現したいなと思われるような目標をつくり、一緒にやりたくなるよう伝える。

簡単ではないんですけど、これが大事です。

で、ここまでは多少夢物語みたいなものでもいいんですが、どこまで行っても夢物語的で、現実的じゃないと思われてしまうと、やる気は一気になくなってしまうものです。なので、そこに向けた現実的なワンステップを示す必要があるのです。

「ちょっと頑張れば、このぐらいのことなら実現できるよね」という、少し背伸びした目標設定が大事です。頑張らなくてもできるようなことでは、意欲は高まりません。少し大変だけど、みんなで協力して、一生懸命やれば達成できるようなレベル。ちょっと頑張れば実現できるレベルの目標を設定します。

そして、「やればできる」「みんなならやれる」「俺たちならできる」「できないわけがない」と、その気にさせます。

精神論だけではなく、「ここをこうすればこうなって、こうやっていればこうなるので、ここを頑張れば実現できる」というように、論理的で裏付けのある道筋を示すことも重要です。

ポイントは、夢のある将来の目標(ビジョン)と、実現性の高い小さなステップを合わせて示すということです。

そうすると、夢のある将来の目標(ビジョン)が、いつか実現できるだろうという気分になり、モチベーションが高くなるのです。

夢のある将来の目標をリーダーが示してくれると、ついて行くメンバーも心躍ります。頑張ろうと意欲が湧いてきます。でも、ちょっと心が疲れていたり、落ち込んでいたりすると、「そんなことできっこないよ」と後ろ向きに捉えられてしまいます。

そのため、まずマイナスからゼロに戻すというステップが重要になります。そのステップがないと、前向きに、積極的にビジョンを実現しようという空気は醸成されません。

リーダーとの信頼関係がないと、一緒に頑張ろうという空気にはなりません。信頼関係を構築するためには、リーダーは部下のよき理解者であり、サポーターであり、応援団であるべきです。

部下を叱って、自分の思うままに従わせるのではありません。

部下がどうしたいのかを理解し、その実現に向けてサポートする。
くじけそうになったら、「苦しくても頑張っていれば道は開ける」と励ます。
壁にぶち当たったら、「お前ならその壁を乗り越えられる」と勇気づける。
そのためにヒントになるようなことがあれば、それを伝えて、サポートする。

部下が自分の夢を実現するために、手助けするということです。

そうすれば、部下も手助けしてくれるようになります。

結果として、メンバー全員が、共通の目標の実現のために協力し、励まし合い、努力していくようになるのです。

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