トップのビジョンを浸透させるために重要なこと(中間管理職に伝える)

前回のポイントはこの3つでした。

  • ビジョンが浸透するというのは、「どんな姿を実現したいのか」というゴールと、ゴールに到達するまでの「進み方」が、社員全員に分かるようにすること
  • 社員一人ひとりのレベルまで伝えるためには、中間管理職が重要な役割を果たす
  • ビジョンを伝える時には、目指すべき姿のポイントは文書で、想いはスピーチで

相手に理解してもらうためには、何度も何度も繰り返し言い続けることが大事

今回は、経営者の思いを代弁する中間管理職に、どのように伝えていけばよいかをまとめていきます。覚えておかなければいけないのは、○○会議などで1回話をすればそれで終わり、というわけにはいかないということです。

伝えるだけなら、1回話をすればそれで済むのですが、相手にきちんと理解してもらうことが大事なので、そんなに簡単には終わらないのです。むしろ、何度も何度も繰り返し言い続けること、つまり、手を変え品を変え、様々な機会を利用し、様々な手段で伝えていく必要があるのです。

様々な機会というのは、中間管理職が集まる○○会議の場とか、部門の会議とか、面談の場とか、ちょっと通りがかったときとか、本当に様々な機会です。

ただ、いつでもどこでもいえばいいかというとそうでもなく、「今なら、このことが心に響くな」という機会をうまく活用することが大事です。

このような日常の場を生かして繰り返し伝えることは、地味ではありますが、何回もやっていると、だんだんとじわじわと染みこんでいきます。少しずつ浸透していくというイメージです。

それ以外には、まず初めの段階で、しっかりと伝え、理解してもらうことも重要です。

ワークショップなどで、全社のビジョンをそれぞれの部門に落とし込ませる

そのためには、中間管理職だけを集めて、ビジョンを伝えるためのワークショップなどをやるといいでしょう。その大まかな流れは以下の通りです。

ビジョンを浸透させるためのワークショップ進行例

  1. ビジョンを伝える(中間管理職向けの言葉で)
  2. そのビジョンを実現するためには、自分の部門はどうあるべきかを考えさせる
  3. それぞれ発表させ、フィードバックを行う
  4. 参加者同士で意見交換を行う(部門ごとのバラツキを整理し、整合性をとる)
  5. 自部門のあるべき姿を実現するための計画を考えさせる

ビジョンを伝える(中間管理職向けの言葉で)

すでに全体で伝えているかもしれませんが、あらためて、ビジョンを伝えます。全社員を対象に話したときよりも突っ込んだ話ができるはずなので、中間管理職のレベルに合わせて話をします。

質疑応答の時間をとって、不明な点を解消します。たとえ、つまらない質問、「そんなことも分からないのか」という質問にも冷静に答えます。ここで怒ったり、不愉快だという感情を見せてしまうと、中間管理職たちが萎縮してしまい、ワークショップをやっている意味がなくなります。

そのビジョンを実現するためには、自分の部門はどうあるべきかを考えさせる

質疑応答も終え、理解が進んだところで、トップのビジョンを実現するためには、自分たちの部門はどうあるべきなのかを考えてもらいます。このとき、同じ部門あるいは近い部門(営業1課と2課など)があっても、まずは自分一人で考えるようにさせます。

時間を区切って、紙にまとめさせます。最初から完璧なものを求めず、その時間でできる範囲でまとめてもらいます。

それぞれ発表させ、フィードバックを行う

紙にまとめたものを、参加者全員が一人ひとり発表します。発表を聞いて、「それはおかしい」「分かってない」などと思っても、まずは黙って聞きます。

一番やってはいけないことは、トップバッターの発表を聞いて、雷を落とすことです。もしやってしまうと、その後の雰囲気は沈みがちになり、ビジョンを実現していこうという前向きなムードが生まれません。当然のことですが、雷を落とすことは、トップバッター以外でもよろしくありません。

全員の発表が終わったら、適切に理解できているかフィードバックします。ただし、個人にフィードバックするのではなく、全員の発表を総合的に判断して、どうしても伝えたいポイントだけに絞ってフィードバックします。

参加者同士で意見交換を行う(部門ごとのバラツキを整理し、整合性をとる)

参加者を5~6人のグループに分け、時間を区切って意見交換をします。各自がまとめた内容が、全社のビジョンの実現に有効なものなのか、付け加える点はないか、修正点はないかなどを話し合います。

その意見交換をする中で、参加者たちは、トップのビジョンについてさらに理解を深めます。少し違ったとらえ方をしている場合には、正しく修正されることもあるでしょう。また、自分では気付かなかったことを知り、視野が広がります。

意見交換で出た内容を発表し合い、全員で共有します。全員が、トップのビジョンをおおむね理解している状態であれば、次に進みます。

自部門のあるべき姿を実現するための計画を考えさせる

トップのビジョンを実現するための、自部門のあるべき姿がまとまったところで、具体的な実行計画を考えさせます。

ここでまず重要なポイントは、具体的に、いつ、何をやるのかという計画をつくることです。当たり前の話ではありますが、計画が具体的になっていないと、何も実行されずに終わったり、中途半端に終わってしまいます。

もう一つ重要な点は、どのようにして部下を巻き込んでいくかという「イメージ」です。「計画」ではなく「イメージ」です。

なぜ「計画」ではなく「イメージ」なのかというと、行動面だけではなく、その結果にも注意して欲しいからです。たとえば、部下を巻き込むために「ミーティングを○月△日に行う」という計画を立てたとします。おそらく、きちんと実行するでしょう。でも、ミーティングをすればいいというわけではないのです。

ミーティングをすることによって、「部下が巻き込まれる」「部下に自分のビジョンが伝わっていく」などということがなければ、ミーティングを実行した意味はありません。効果が出るまで、またミーティングをするか、別のことを実行するか、とにかく何かやらなければならないわけです。

それをしっかりやるために、どうしたら部下にビジョンが伝わっていくのか、ビジョンが伝わったらどんな感じになるのか、そのようなイメージを持つことが重要になるのです。

といっても、最初は、そんなことをいわれても理解できないかもしれません。そのような経験がなければ、全く野手探りになるかもしれません。それも仕方がないことです。

そんなときは、行動計画をつくればいいのではなく、実行した結果が大事だということだけでも伝えておくとよいでしょう。あるいは、そのようなミーティングの実行後に、そのときの様子を聞き、フィードバックしてみるのもいいでしょう。

これを読むと、ずいぶんと面倒くさいことだと思われるかもしれません。確かに面倒くさいことなのですが、このぐらいのことをやらないと、なかなか伝わっていかないというのも事実です。

ワークショップという形式ではなくても構いませんが、それなりに時間をかけ、対話をしていくことが重要なことは間違いありません。それなりにまとまった時間を費やして対話すれば、その効果は想像以上になることと思います。

真剣にビジョンを浸透させたいという経営者の方は、是非、やってみて下さい。

今日のポイント

  • 中間管理職に伝えるためには、ワークショップが有効
  • ワークショップの進行例
  1. ビジョンを伝える(中間管理職向けの言葉で)
  2. そのビジョンを実現するためには、自分の部門はどうあるべきかを考えさせる
  3. それぞれ発表させ、フィードバックを行う
  4. 参加者同士で意見交換を行う(部門ごとのバラツキを整理し、整合性をとる)
  5. 自部門のあるべき姿を実現するための計画を考えさせる
  • 中間管理職の理解を深めるためには、時間をかけて対話することが必要

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