一つだけ、分かりやすく伝える

組織が大きくなれば、好循環になったときの効果も大きくなります。人が一つの方向に向かって結集すれば、それだけ大きな力を発揮できることは、誰でも知っています。
ところが、現実はそううまくはいきません。どちらかといえば、マイナスの面が目立つことが多いようです。組織の中に軋轢があって、うまく連携ができずに、組織としての力が発揮できないということはよくあることです。
「目標を全員が共有して、一丸となって取り組む」ということは、口でいうのは簡単です。ところが、これは本当に難しいことです。でも、うまくいかないからといって、あきらめてしまって良いものなのでしょうか。
実は、先日ある会社を見ていて実感したことがあります。やはり、組織の力を結集できないと大変なことになるということです。大変になるというのは大げさだとしても、あまりにももったいないことだと思ったのです。


その会社は規模も小さく、社長の下は一般社員しかいません。社長がすべてを掌握し、個々の業務についても、社長が具体的に指示を出しています。当然のことですが、一番技術を持っているのは社長ですし、一番知識を持っているのも社長です。一般社員と比較して、圧倒的に経験が長いのも社長です。
すると、当たり前ですが、社長が絶対的な力を持つようになります。そして、社員たちは、社長の顔色を見ながら仕事をするようになるのです。
その社長は、決してワンマンではありません。社員の要望にも耳を傾けますし、社員たちが能動的に仕事ができるようにいつも気をつけています。ただ、社長と社員の間に、あまりにも経験、知識、能力面で差があるために、どうしても常に指示を出す役になってしまうのです。そして、結局、社員たちは受身になっていくのです。
この社長は、いつも嘆いていました。
「みんな頑張っているんだけど、いつも受身なんだよね」
「もっと、自分から積極的にやって欲しいんだよね」
「どうしたらいいのかなぁ」
私と会えば、いつもそんな話になるので、いくつかアドバイスをしたことがあります。でも、なかなかうまくいかなかったのです。そんなある日、事件が起こりました。
その日、ある社員は、ある顧客に納品にいく約束がありました。ところが、それを知らない社長が、別の仕事をその社員に指示したのです。社員は社長から指示された仕事を片づけてから納品に行こうと考え、いわれた仕事に取りかかりました。
その仕事は、社員が考えていた以上に手間がかかり、気がつかないうちに、顧客との約束の時間が過ぎていたのです。当然、顧客からはクレームになりました。
本当に初歩的なミスではありますが、それだけに社長はショックでした。
「顧客への納品があるのなら、俺の仕事は後でもよかったのに・・・」
「何で、こんなことになるんだろう・・・」
そのとき私は、先日の(株)ホンダクリオ新神奈川の相澤会長の講演を思い出したのです。
こちらの会社では、本当に細かいことまで徹底されています。挨拶、掃除、笑顔、ちょっとしたことなのですが、本当に徹底されているのです。当然、どうやってそれを実現しているのか、お聞きしました。
すると、こういわれたのです。
「一つだけ、分かりやすく伝えるんです。いくつも言っちゃダメです。彼らはいくつもいうと、分からなくなりますから。でも、一つだけなら、理解できるんですよ」
確かに、その通りです。
そこで、この話を先ほどの社長にしてみたわけです。その社長は、早速実行に移してみたそうです。
さて、その効果はといいますと・・・
「ん~、前よりは、俺の言っていることを理解してくれているみたいだね。まあ少しだけど、行動も変わってきたからね」
「ローマは一日にしてならず」という感じでしょうか。
何かを徹底するためには、分かりやすいメッセージにして、繰り返し、言い続けなければならないようですね。

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