経験と勘による経営
経験と勘で経営していたら、こりゃ危ない、と思うのが普通でしょう。今時、経験と勘なんかに頼らず、科学的に数値を分析して、論理的に戦略を立案するべきだ、などという声もあるでしょう。
私も、かつてはそう思っていたのですが、最近は少し疑問を持つようになりました。科学的に分析するのも結構なのですが、経験と勘も捨てたものではないと思うのです。
問題なのは、その経験と勘がどこまで研ぎ澄まされているかということ。経験は、豊富であるに越したことはないのでしょうが、単に量的なものだけでは不安が残ります。やはり一つひとつの経験を深く刻み込んで、感性を鋭く磨いていくことが必要なのではないかと思います。
また、当然、自分の経験と勘だけを信じるのも問題です。ちょっとした思いつきでしかないのに、「絶対に成功する」と、根拠のない自信を持つのも考えものです。ただ、新しいことをやろうとしているときは、自分の勘を信じてやっていくしかないでしょう。それができるかどうかが、その後成長できるかどうかの分かれ目になります。もちろん、そのような決断は失敗する可能性もあるわけですが・・・
では、そのような決断の精度を高めるためにはどうしたらよいでしょうか。
一つは、やはり自分の事業についてひたすら考え抜くことではないかと思います。どうやったらうまくいくのかを、常に考え続けていれば、様々な可能性を検討することになります。多くの可能性を検討していれば、その中でうまくいきそうなものにたどり着く可能性が高くなります。
たとえ、正解にたどり着けなかったとしても、そのような経験は次の決断に役立つような気がするのです。様々な可能性を検討するということは、その中には適切ではないものが多く含まれていることになります。しかしながら、次の機会には、適切ではないものをあらかじめ外すことが可能になるわけです。
また、いきなり大きな決断をするのではなく、常に、小さな決断を繰り返しておくことも重要な気がします。小さな決断であれば、失敗しても被害が少なくて済みます。その失敗の原因をしっかりと振り返っておけば、恐らく次からは、同じような失敗はしなくなるでしょう。これを繰り返していけば、そのうち成功するというわけです。
と書くと、あまりにも気の長い話のようですが、決してそんなわけではありません。小さな決断のサイクルを、素早く回転させればいいのです。
もう一つ重要なのは、自分の中に確固たる柱を作っておくことでしょう。そうしないと、右に左にとブレまくってしまいます。柱があれば、大きなブレはなくなるでしょう。ですから、成功にも近づきやすくなると思います。
すべての経営者に当てはまるのかどうか分かりませんが、やはり失敗の経験を積み重ねて、成功の秘訣をつかんでいる方が多いような気がします。それを教えてもらっても、すべてを会得することは不可能でしょう。やはり、ある程度は、自分で経験する必要があります。
「経験と勘の経営」などというと、極めてアナログな印象があります。でも、過去の経験を蓄積して成功の法則を導き出していると考えれば、これは、立派なデータベースです。
「経験と勘の経営」は、「データベースの有効活用」
そのように捉えれば、経験と勘の経営も、捨てたものではないといえるようです。
投稿者プロフィール

最新の投稿
変革ストーリー2021.01.11【企業変革ストーリー】第一章「一念発起」 経営のヒント2020.02.24上司のひと言で部下は変わる 経営のヒント2020.02.17人前で話すのが苦手だった私が、今では講師になりました… 経営のヒント2020.02.10経営者やリーダーに人望は必要なのか?