どうせ上が決めることですから・・・
ある打ち合わせが終わり、帰宅する電車の中でのこと。
打ち合わせが終了したのが遅かったので、電車の中は一杯飲んで帰る人も多くいました。赤い顔をして眠っている人、ちょっと目が据わっている人、端から見ていると面白いものです。
もっとも、自分も人のことはいえませんが・・・
さて、私は、電車の中では、大抵本を読んでいます。相当集中していれば、周りも気にならないのですが、ちょっとほろ酔い加減の人が多いときは、なかなか集中し切れません。中には、大きな声で会話をしている、ほろ酔い加減の人たちもいるからです。
そのときも、あるグループが電車に乗ってきた途端、社内はにぎやかになりました。
「○○さんがさぁ~」
「いやぁ、それがたいへんなことになって」
「でも、それってさぁ・・・」
会話の中身はよく分かりませんが、とにかくうるさい。静かにしてもらえないかなぁと思いつつ、本に集中できなくなってしまったので、別に聞きたくもなかったのですが、何となく話を聞いてしまいました。
話の様子から分かったのは、どうやら会社が合併するらしく、人数が倍以上になるということ。そして、そうなれば、今の事務所では入りきらないので、新しい事務所を探しているということでした。
「場所が変わらなきゃ良いんですけどねぇ」
「でも、このあたりじゃあんまり見つからないみたいだよ」
「通勤しやすいところが良いなぁ」
各自、好きなことをいっています。そりゃ当然ですが。
で、そのとき、ある人がいったのです。
「まあ、どうせ上が決めることだから、良いんですけどね!」
文字にすると、ニュアンスが伝わりにくいと思いますが、この発言の主は、決して「よい」とは思っていません。
そもそも、最初の「まあ、どうせ」の部分に相当あきらめが入っています。
その思いをもう少し正確に表現すれば、
「どうせ上が決めることで、自分には決定権もないし、意見を言う場もない。ここで何をいっても何かが変わるわけではなく、もうどうしようもないことだ」
そんなところではないかと思います。
気持ちはよく分かります。
そもそも、会社が合併することにだって、賛成・反対、いずれかの意見があったでしょう。でも、その意見には関係なく合併が決まったはずです。(そりゃ当たり前かもしれませんが)
人は、このように自分の力の及ばないところで、いろいろなことが決まっていくと、次第にあきらめのムードになります。自分の知らないところで、ドンドン進展してしまうので、自分のこととは思えず、他人事になります。
ですから、「まあ、どうせ」といような心境になっていくのです。
しかし!
この「まあ、どうせ」は、かなりくせ者です。
これを放置しておくと、何に対しても、「まあ、どうせ・・・」となってしまい、何もかもが他人事になってしまいます。
こうなってくると、組織としての一体感も弱くなります。
組織の一体感を高めて、社員一人ひとりが自分のこととして考えるようにするためには、それぞれの意見を、できる限り取り入れていくことです。もちろん、何でもかんでも取り入れていたら収拾がつかなくなります。でも、だからといって、何でもトップダウンでは、社員たちは何も考えなくなり、帰属意識も弱くなります。
社員一人ひとりの発言が反映される組織であれば、社員も経営に参画している意識が芽生えます。全員の意見を取り入れるのではなくても、意見が取り入れられるということが分かれば、それだけでも良いと思います。
社員が「どうせ・・・」と言い出したりしないよう、全員参加型の経営を目指すべきです。
もちろん、そんなに簡単なことではありません。
でも、だからこそ、それを実現したとき、他社との差が大きくできるのです。
誰にでもできることなど、やっても意味がありません。
簡単ではありませんが、全員参加型経営を目指しましょう!!
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