結局、経営理念に沿って経営することになる
人生楽ありゃ、苦もあるさ。
経営も、うまくいっているときもあれば、あまりうまくいかないときもあります。
そんなときどうするか。
たとえば、業績が急激に悪化。このままだと、今期赤字になるのはもちろん、企業の存続も危ぶまれるかもしれない。
何をやるかは状況によると思いますが、売上増加は顧客の都合があって、自分たちの努力ではどうにもできないこともあるので、まずはコスト削減することにしたとします。
「無駄な経費は一切使わないこと。とにかく経費節減につとめる!」
こうして、全社にコスト削減が通達され、みんなが努力したとします。
会社によっては、「そんなことやってられないよ」とか「別にいいんじゃない」とか、その通達を無視する社員がいる場合もあります。あるいは、コスト削減は分かったけど、実際の行動面になると、ついうっかり今までのままという社員がいたりもします。
でも、今回は、みんなコスト削減に向けて努力したということにしておきます。
実際、無駄も排除され、コストも削減されました。
めでたし、めでたし。。。
そうなるかといえば、そうはいきません。
コスト削減活動を始めたときは、「業績が悪い。だから、コスト削減」つまり、「業績改善」のための「コスト削減」ということでした。
ところが、活動を始めてくると、「業績改善のための」という部分が欠落してきます。だんだん、「何が何でもコスト削減」ということになるものです。
そして、マーケティング、営業活動などの経費を削減してしまい、売上まで落ちる。。。
コストも下がったけど、売上もさらに減少。。。
ありゃ、まあ。。。
なんてことになります。
でも、それはまずいんで、とにかく売上アップを目指すことにしたとします。
「何が何でも売上を増やせ!」
大号令がかかって、熱心に営業活動をします。ここでも、抵抗勢力はなく、みんなが見事に、「何が何でも売上を上げる」ために、死ぬ気でがんばったとします。
その甲斐あって、売上もアップ!
めでたし、めでたし。。。
かと思いきや、ちょっとしたらクレームの嵐。
売上を上げるために強引な営業活動が行われ、顧客や関係各社からの信頼を失ってしまう。。。
瞬間的な売上は向上したものの、長い目で見た場合には、企業として大切な信頼を失ってしまい、さらに営業面で苦しくなる。。。
そんなこともあります。
どちらのケースも、ちょっと極端に書いています。
ただ、とにかくいえることは、次第に手段が目的化してしまうということです。
企業には、その会社の存在意義があります。何らかの形で社会に貢献しているから、存在し続けられるのです。
その社会に貢献するための価値は何なのか。
その価値を生み出すために、日々気をつけておくべきことは何なのか。
そういうことが、経営理念や企業目的、ミッションなどに書かれています。
これらは、とりあえず掲げられているお題目みたいになってしまうこともありますが、全社員の行動に筋を通すため、足並みを揃えるためには非常に重要です。
もっとも、理念だけを唱えていても、日常業務の焦点は定まりません。それとは別に、先ほどの「コスト削減!」「売上向上!」などのように、焦点を絞った、集中的な活動が必要になります。
ただし、そのような場合でも、とにかく理念、ミッションは忘れてはいけない。
本当の目的は何か。
それを意識しながら活動しないと、結局は、どんなこともうまくいかなくなる。
そう思います。
経営理念は抽象的ですし、それがあれば企業経営がうまくいくというものでもありません。
でも、最後は、そこに戻ってきます。
小手先の技ではなく、本質的なものを追求せざるを得なくなります。
そして、結局は、それが遠回りのように見えて、一番近道だということになるのです。
まあ、近道といっても、遠い道のりですが。。。
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