だから、出張なんだってば!
以前、ある会社で働いていたときのこと。
そのときの私の仕事は、その会社の基幹業務の改善&新たな情報システムを構築することでした。その会社には、全国7,8箇所に支店がありましたが、それも含めてすべてを作り直すのが私の役割でした。
ですから、全国の支店を回って、状況や意見、要望などをヒアリングして回りました。
そのプロジェクトは、急に始まって、しかも締切がすぐだったので、スケジュールは相当タイトでした。そのヒアリングも、12月20日ぐらいから初めて、年内に終わらせるというスケジュールだったと思います。
そうなると、一人ですべてを回るわけにもいきません。他のプロジェクト・メンバーと分担して行くことになります。プロジェクト・メンバーは、タイトなスケジュールで、支店を周り、情報を収集してきました。
たとえば、こんな感じです。
まず、初日は、午前中に大阪へ移動。午後、ヒアリングして、大阪泊。
2日目は、1日大阪。またまた大阪で宿泊。
3日目は、午前中広島へ移動。午後からヒアリングし、広島泊。
4日目は、夕方まで広島でヒアリングし、そのあと東京へ。
結構、ハードでした。
出張から帰ると、おみやげを持って、事務所へ出社。昼休みなどには、出張の時の話をしたりもします。正式な報告は別途レポートと共にやりますので、いわゆる雑談です。
そうすると、どんな話をするかというと、大阪ではこんなもの食べたとか、広島では何が美味しかったとか、誰それさんがかなり酔っぱらっていたとか、そんな話になるのです。
つまり、昼間の仕事中の話ではなく、夜、飲みに行っているときの話です。
そうすると、ずっと事務所にいた人にいわれるんです。
「いいなぁ、出張。。。」
「楽しそうだなぁ、出張。。。」
私は、直接いわれませんでしたが、私と一緒に動いていた女性は、結構いわれたようです。他の女性から聞かれるのも、仕事の話ではなく、「○○では何が美味しかったですか?」というような話。完全に旅行と勘違いされているようです。
実際に、出張してきたメンバーたちは、4日も事務所を空けていると、メールはたまるし、机の上はメモでいっぱいだし、事務作業もたまるし、それだけでも大変です。さらに、4日間もヒアリングしてきたとなると、それらをまとめるのにも一苦労。しかも、年末までに終わらせるということで、出張の後は、深夜まで残業です。
出張は、楽しみもありますが、負担も大きいのです。
でも、事務所に残っている人には分からないようです。残っている人は残っている人で、たまにはどこかに出かけたいと思っているようです。出張の多い人は、たまには事務所でのんびりしたいと思っているようです。
まあ、どっちも仕事ですから、楽なことばかりじゃありません。どちらも、端から見ているよりも大変だし、そんなに良いものではありません。
でも、出張することは、楽しそうに見えるようです。どうも、出張とは、会社のお金で行ける旅行のようなものだと思っているようなのです。
確かに、誰でも出張に行かれるというものではなく、ある程度の位置の人じゃないと行かれません。経費がかかりますから、当然ですが。そうすると、社歴の浅い人たちは、出張に行かれる人たちはいいなぁと思うようです。
出張行った後の苦労も知らないで。。。
そういうことが分かってからは、必ず、いいおみやげを買って来ることにしました。どこにでもあるような、クッキーとかまんじゅうとかじゃなくて、その土地で有名な、美味しいと評判のおみやげです。たとえ、ちょっと高くても。
事務所に残っている人のために、気を遣ったつもりだったのです。
ある時、そんな奮発したおみやげを、一緒に行った女性に配ってもらいました。
配った女性はいわれたそうです。
「いいなぁ、また出張行ったんだ。。。」
だ、か、ら、、、
こっちは、仕事で行ってんだぞ~!
おみやげだって、自腹で買ってんだぞ~!
出張の後は、レポートまとめるのに大変なんだぞ~!!
そんなに行きたきゃ、代わりに行ってくれよ。
行けば分かるから。
もちろん、そんなこと、いえませんでしたけどね。。。
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