社員の本音を理解しているか
「社員がなかなか定着しない」
ある経営者の方が、そんな悩みを語っていました。
「最近の若者は、すぐ辞めますからね」
と、分かったようなことをいってみたところ、
「いや、違うんですよ。長年、一緒にやってきた幹部が辞めるんです」
そういうのです。
入ってきたばかりの人ならともかく、長年一緒にやってきた仲間が辞めるとなると、それはショックでしょう。
相手を信頼しているだけに、裏切られたような気分にもなります。
「どうしてだよ?」
そう聞きたくもなります。
その経営者の方がいいます。
「あいつには、ずいぶん良くしてやったつもりなんだけどなぁ」
「給料だって、結構払ってるし・・・」
「今の役職にも抜擢してやったのに・・・」
「これだけ良くしてやったのに、突然、「辞める」だもんなぁ・・・」
かなりショックを受けている様子です。
経営者の話を聞いていると、この幹部は、恩知らずの、とんでもない人に思えてきます。
本当にそうなのでしょうか?
このようなケースは、結構、いろいろなところで起こっています。
経営者の方は、部下とともに仕事をしているつもりでいるのに、部下はそうでもない。
経営者の方は、部下を優遇しているつもりなのに、部下はそうは思っていない。
経営者の方は、部下と方向性が一致しているつもりなのに、実はそうではない。
経営者の立場からすると辛いことですが、そんなことはよくあります。
なぜ、そんなことが起こるのか。
やはり、コミュニケーション不足でしょう。
コミュニケーションというのは、単に会話をするとか、飲みに行くとか、そういうことではありません。本音の部分で、お互いの考えを共有できているかどうかが重要です。
多くの場合、どんなにいい関係であっても、部下は上司に遠慮しています。相手が、中小企業の社長ともなれば、なおさらです。相手の一存で、自分のクビが危うくなるかもしれないのですから、当然のことです。
部下の方は、いいたいことがあっても、十分にはいえない状況にあるのです。
いくら経営者が、「思っていることをいってくれ」といってみても、部下の方は本音を言うとは限りません。部下には、自分の生活を守る使命がありますから、本音を言っても良いものかどうか考えてしまうのです。
すると、どうなるか。
とりあえず、社長は部下と会話をしているし、良好な関係が築けていると思いこんでしまうわけです。
それが、まずい。
そして、突然、退職願。
どうすれば、それを防げるのか。
難しい問題です。
(次回につづく)
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