社員教育のタイミング
何事も、タイミングが大切です。
たとえば、商品開発。たとえ画期的な商品であっても、早すぎると受け入れられないし、遅すぎてもライバルに先を越されてしまいます。
たとえば、営業のクロージング。お客さんの気持ちが高まってきたその瞬間にクロージングをかけることが大切です。もちろん、話のきっかけ作りもタイミングが大切です。
それから、最近、というか、ずっと前からしみじみと感じているのが、社員教育におけるタイミング。どんなに素晴らしいアドバイスをしたとしても、タイミングが悪いと効果がありません。逆にタイミングがバッチリだと、何気ない一言であっても、ものすごい効果を発揮したりします。
自分の部下だったら、ここぞというタイミングを見計らって、指摘すればいいのですが、日頃の私の仕事ではそうはいきません。せいぜい、1ヶ月に1度か2度会うだけなので、その中でうまいタイミングを見つけていかなければなりません。
でも、ただ待っていても、そのようなグッドタイミングはやってきません。ですから作るのです。
研修にもいろいろありますが、大抵は講義中心ではなく、演習や討論が中心になります。何かテーマを掲げて、それについて討論したり、それをまとめて発表したり。
そのような討論や演習は、参加者に気づきを与えます。人と話をしていると、自分にはない考えに気づかされます。反対に、自分の考えを改めて口にしてみると、漠然としていたものが明確になり、これだけでも新たな発見があります。
自分の考えを話すということは、漠然としていたイメージを、他人に分かる言語に変換しなければならないので、その過程で、自分も気づくわけです。これは、何も話をするだけではなく、文章を書くのでも同じこと。日記を書くといいというのは、こんなところにも関係していると思います。日記を書くことで、自分の考えが整理されて、新たな発見があるからです。
おっと、ちょっと話がそれてしまいました。元に戻しますと、とにかく相手にインパクトを与えるために、研修の中でタイミングを作り出すのです。
たとえば、受講生に自分が買い物をしていたときのよかった経験、悪かった経験などを話してもらうとします。自分が客の時の話というのは、好き勝手なことを、いくらでも話をすることができます。
また、自分の買い物の話ですから、自分の好きなもの、趣味などに話題が及んで、ついつい盛り上がります。下手をすると、研修だということを忘れて、雑談をしているかのように盛り上がることもあります。
もっともこちらとしては、そのぐらい盛り上がって、好き勝手な意見が出た方がいいのです。むしろ、それが狙いだったりもします。
さて、こういう時に、熱がこもる内容の一つが、最悪だった経験話です。経験者は話をしているうちに、その経験が蘇ってきて感情的になりますし、聞いている方も、「あるある、確かにそういうのあるよね」という感じで、感情移入します。そして、盛り上がる・・・
そうやって、盛り上げておいていうのです。
「皆さんは、お客さんに対してきちんと接していますか?」
そうすると、ふと我に返るわけです。
さんざん客の立場で話をしていますので、自分たちが逆の立場だったらどうすればいいかが見えてきています。そのような状態で改めて問いかけると、お客様の視点から自分の姿を見つめ直すことができるのです。
「常に、お客様の立場で考えなさい」
多くの方が、口を酸っぱくして言い続けるセリフです。でも、いくらいっても効き目はあまりありません。もちろん、言い続けることは大切なのですが、たまには上記のような違った刺激を与えることも大切です。一度でもそういうことをしておけば、その後何かを伝えるときにも伝えやすくなるのです。
このやり方は、何も研修だけに限りません。日常の業務の中でも、考え方次第で工夫ができると思います。
とにかく、タイミングは大切。
この世で一番肝心なのは、すてきなタイミング!ともいいますから。
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