社員教育:叱り方の極意
先日、ある経営者がいいました。
「叱るのに、テクニックなんかいらない」
「自分の気持ちをぶつければいい」
「相手のことを真剣に思っていたら、真剣に叱る」
確かに、その通り。
でも、違う。。。ところもある。。。
たとえば、親が子供を叱るのには、テクニックもへったくれもないといえるでしょう。特に、子供が小さいうちは、理屈がどうのこうのではなく、ダメなものはダメ。子供が泣いても、きちんと教えなければならない。だから、叱ります。
じゃあ、学校の先生、あるいは、保育園、幼稚園の先生がその同じ子に叱るときはどうか。
もちろん、一概にはいえませんが、テクニックがいるのではないかと思います。
親は教育のプロではありませんが、先生は教育のプロ。もちろん、プロだから、感情的に叱ってはいけないということではありません。でも、教育のプロならプロらしいやり方もあるだろうと思うのです。
そう思うと、先ほどの経営者の叱り方は、素人の叱り方ではないでしょうか。素人というのは、大変失礼ないい方ですが、社員教育という分野については、子供に対する親と同じで、ある意味では素人だといえるのではないかと思います。
ところで、なぜ叱るのかといえば、誤った行動を正すためです。
本来できるはずのことができていなかったり、常識として知っているはずのことを知らないときに叱ります。そして、正しい行動、正しい知識を身につけさせる。少なくとも、そうなって欲しいと思って叱るのです。
だとすれば。。。
別に叱らなくてもいい。
正しい行動が取れて、正しい知識が身に付くのなら、叱らなくてもいい。
もちろん、叱ることが一番効果的な場合もあるとは思います。でも、そうではないことも多いでしょう。
ちょっと話が飛びますが、私は大学生の頃、塾で数学を教えていました。担当していたクラスには、できる子もいれば、そうでない子もいました。
自分の経験が浅いうちは、できない子には厳しく、できる子には甘くなりがちでした。できない子はできるようにしなければいけないし、できる子は、すでにできているので、特に教えることもないからです。
でも、途中から変わりました。
できない子には甘く、できる子には厳しくするようにしたのです。
そんなことをしたら、できない子は、ますますできなくなる!!
そう思われるかもしれませんが、全然そんなことはありません。むしろ、実力を伸ばしていくんです。あまり得意ではないなりに、徐々に自信をつけて、少しずつですが、点数を伸ばしていきます。
たとえば、テストがあったとして、できる子が95点、できない子が60点を取ってきたとします。
最初の頃なら、できる子に対しては「よく頑張った」とか「惜しかったな」とかいったでしょう。できない子に対しては、「どうしてこの問題で間違えるんだ!ちゃんと教えただろう!」といっていたと思います。
でも、それでは、どちらも伸びないんです。
むしろ、95点の子に対しては、
「どうして、5点落としてるんだ!こんなところ間違えるところじゃないだろう!」
と叱り、できない子に対しては、
「お~、きちんとやれたじゃないか!」
と褒めるのです。
そうすると、できる子は、悔しいので奮起して、さらにがんばります。できない子も、褒められてうれしいし、自信がついてきて、やる気がアップし、少しずつ実力が上がっていくのです。
もちろん、できる子が95点とったことを認めてやることも大切だし、60点の子をやたらと褒めればいいというわけでもありません。
60点の子に対しては、教えたことがきちんとできている部分を見つけて、褒めるのです。それと同時に、教えたことでできていなかった部分については、やさしく指摘します。
よくいわれることですが、まず褒めてから、改善を指摘する。
そうすると、プライドを傷つけられないし、冷静に改善点を受け入れることができるのです。
感情的に叱ってしまえば、そうはいきません。相手も感情的に受け止めますからね。
もちろん、だからといって、感情的に叱ることが絶対的な悪だといっているわけではありません。
ただ、叱るだけが能ではありません。
褒めながらも、相手の行動を変えることはできるということです。
褒めたって、社員は成長するんです!!
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