次世代リーダー育成の功罪

どこの会社でも、次世代のリーダー候補を育成しようとしています。経営者候補とまで行かなくても、組織を支えていくためには、会社のこと、経営のことを理解したリーダーが必要です。しかしながら、そうしたリーダーは、自然に育つものでもありません。ですから、企業が意識して、そうした人材の育成に取り組むことになります。

その一つが、MBA。

最近は、このような世界情勢だからか、成果が出にくいからか、原因はよく分かりませんが、日本企業から海外のビジネススクールへの派遣は減っているようです。もっとも、完全に学生として学ぶのではなく、短期間、集中的に学ぶコースもあるので、そちらの方にシフトしているのかもしれません。

グローバル化が進んでいることは間違いないので、MBAではないにしても、何らかの形で海外での経験を積んだり、海外の人と交流したり、勉強したりということは重要です。

それはそれとして、かつては、会社のお金でMBAをとったのに、すぐに退職してしまうということが頻繁に見られたようです。そのため、留学させる前に、何年間かは退職しないとか、何らかの条件を付ける企業も出てきました。

会社側からすれば、会社のお金でMBAをとらせたのに、会社に貢献もせずに辞めていくのはけしからんということになります。当たり前ですよね。2年間仕事もせず、ひたすら勉強に打ち込める環境を与えられ、学費も出してもらっているのです。少なくとも、その分ぐらいは会社に貢献してから辞めて欲しいと考えるのが当然です。

じゃあ、辞めていく社員が一方的に悪いのかというと、実はそうでもありません。

MBAをとってきた社員は、恵まれた環境を与えられたとはいえ、それはそれで大変な思いをして勉強してくるわけです。それなりに英語ができたとしても、資料や文献も英語、講義も英語、ディスカッションも英語という環境の中で学ぶわけですから、それだけでも一苦労。加えて、それまで知らない知識を学んでいくのですから、相当な努力が必要になります。

それをやりきって、いろいろと身につけて帰ってくるわけです。当然、学んだことを会社で生かそうと意気込んでいるはずなのです。

ところが帰ってくれば、学んだことを生かすような場面はない。海外に行く前と同じような仕事で、MBAで学んだことなど生かしようがない。学んだことを生かそうとして、何か提案したとしても、そう簡単には受け入れられない。そういうことが続くと、学んだことを行かせる場に行きたくなるものです。

今は、昔ほどではないと思いますが、それでもそういう面は残っていると思います。

で、学ばせた側も不本意だし、学んできた人も不本意な思いをして、恐らく優秀であり、将来を嘱望されていたであろう若者が会社を去っていくのです。

一番いけないことは、一部の人を特別な場所で学ばせて、会社が変わっていかないことです。

学んだ人は、特別な場所で学んでいるのですから、それ以前とは確実に変化します。それにもかかわらず、受け入れるべき会社が何も変わっていなかったら、ミスマッチを起こすのは当然です。

それだけいろいろ学んだのなら、それを会社の状況に合わせて応用していけばいいという考えもあります。自分にぴったりくる場がなかったとしても、それぐらい自分でつくっていくという主体性があってもいいだろうとも思います。もっといえば、それぐらいできて当然だろうという考えもあります。

でも、残念ながら、学んだ側がそこまで考えられるかというと、そうでもありません。ある程度考えられたとしても、まず考えるのは、自分がそれだけの努力をする価値のある会社かどうかということです。言い換えれば、努力をすれば、この会社が変わっていくのかということです。

もし、努力をしても変わらないと判断したら、その人は辞めていきます。

学んでしまった分、経営の問題点や、上司のあらなどがはっきりと見えるようになっていますし、自分の力にも自信を持ってきているからです。

これは、もちろんMBAに限ったことではありません。

リーダー養成、管理者養成、経営幹部養成、、、その手のものは、すべて当てはまります。

人材育成に力を入れることは、とても素晴らしいことです。

ただし、それ以上に経営者も学び、売上や利益の面だけではなく、会社を成長させていくことが重要だということを忘れてはいけないのです。

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