人に力を与える応援
軽く風邪を引きました。動けなくなるというほどでもありませんし、大したことはないんですが、ちょっとだるく、鼻水が出たりします。そんなわけで、この週末は2日間休みにして、家で静かにしています。
いつもなら、たとえ休みの日であっても、完全に休みということはありません。仕事関連の本を読むとか、パソコンで資料づくりをするとか、1日中ではありませんが、何かやってしまいます。でも、今回は、やればできないことはありませんが、少しボーっとするという感じがあったり、集中力が落ちている感じがするので、仕事はしないことにしました。
そうすると、やることといえば、音楽を聴くとか、テレビを見るとか、そんなことしかありません。そこで、甲子園球場でやっていた阪神×巨人の試合を見ていたんです。
時々映されるスタンドは、9割以上は阪神ファンという雰囲気。聞いてはいましたが、阪神ファンの応援は凄い!ツーアウトランナー1塁なのに、まるでノーアウト満塁か!(大チャンス)というような大声援。
反対に、巨人の攻撃のときは、ノーアウト2,3塁などのチャンスになっても、応援は寂しく、迫力もありません。
阪神の選手なら、この応援は本当に力になるでしょう。反対に、巨人の選手としては、大したピンチでもないのに、大変なピンチのような錯覚を起こして、舞い上がってしまうかもしれません。
プロ野球の選手は、それなりに大舞台を経験していますし、修羅場をくぐり抜けることによって、精神的にもたくましくなっているはずです。それでもあれだけの応援があると、応援に押してもらったり、反対に押されてしまったり、かなりの影響を受けるようです。
もちろん、平常心でやれる選手もいるでしょうが、全員が全員そういうわけでもないようです。
「プロ」の選手なのに。
全然話は変わりますが、私は山下達郎のファンで、コンサートにも何度か行っています。
そこで達郎氏がこんなことを言うのです。
「今日のお客さんはノリがいいので、演奏もノリが良くなる」
「ミュージシャンにいい演奏をさせるのは、お客さんの力だ」
山下達郎は、確か今年57歳で、今年でデビュー35周年の大ベテランです。それこそ百戦錬磨のミュージシャンなのです。バックを支えているメンバーも、やっぱり百戦錬磨の一流のミュージシャンばかりです。
それでも、お客さんのノリによって、演奏の出来に影響があるというのです。
私自身も、研修に参加しているメンバーによって、自分の調子が変わります。メンバーに影響されないようにやるのがプロだと思っているのですが、どうしても影響があります。
活気のあるメンバーで、積極的に参加してくれれば、こちらも乗っていきます。反対に、無反応で、参加しようとしないメンバーばかりだと、当たり障りのないことをやるだけで精一杯です。
それじゃいかんと思いつつ、なかなかうまくはいきません。
これまでは、メンバーを乗せられないのも自分の責任だと思っていました。まあ、これからもある部分はそう思うと思います。実際そうだと思いますので。
ただ、甲子園球場の応援を見たり、達郎氏の話を聞いていると、人間がやることは、どうしても周りの環境で左右されるということを認めざるを得ないと思うのです。
置かれた環境に関係なく、どんなに最悪の環境であっても、最高のパフォーマンスを発揮する。
それができたら、それは素晴らしいことだし、できるのならばそれを目指すべきだとも思います。ただ、自分がそうできると思いこむのは、思い上がりなのではないかという気もします。環境に左右されなくなるのは、本当に達人の域に達していないとダメな気がするからです。
じゃあ、どうすればいいかというと、いつでも平常心を保てるような精神修養をすることも一つでしょう。いい環境になるように、できる限りの準備をしていくということも大事でしょう。自分ががんばれば何とかなるとか思わず、周りの人に協力を求めるということも重要です。
いろいろやることがありますね。
ところで、視点を変えて、誰かに最高のパフォーマンスを発揮してもらいたいと思った場合。
その人が力を発揮しやすい環境をつくってあげることは、上司や先輩の重要な役割だと思います。
厳しく鍛えようとすると、「環境に関係なくできるように」ということになるかもしれません。でも、プロ野球の選手や、プロのミュージシャンであっても、環境に左右されるという現実がある以上、周りの人間が、いい環境をつくってあげるように努力することは不可欠なことだと思うのです。
応援するスタンスが大切なのかなと思います。
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