グリーン・リカバリー
この本の著者、三橋規宏さんは、元日本経済新聞社で、『ゼミナール日本経済入門』などの著書でもあります。
この本の主張は、タイトルからも推察できるとおり、環境重視の経済政策により、日本を再生させようというものです。そして、もう一つ大切なこと、というか、私自身はこちらの方が重要だと思うのですが、新しい日本を作るためには、一人ひとりが、自分でできる範囲で行動することが大切だといっていることです。
今、時代が変わろうとしています。大きな変化は、スムーズには起こりません。何らかのきしみ、痛みなどを伴って、大きな変化が起こります。新しい世界は、簡単には生まれません。産みの苦しみともいうように、新しいものを作り出すには、苦労が伴います。
その苦労は、誰かが担ってくれるものではなく、日本国民の一人ひとり、世界中の一人ひとりが担うものです。
一国民には、日本中を巻き込んだムーブメントを起こすことはできません。でも、やれることは何かあるはずです。誰もが、その役割を果たしていけば、世の中は少しずつかもしれませんが、良くなっていくと思うのです。
今は、高度な工業化社会から、その一歩先へと進むべき時なのではないかと思います。
戦後の経済成長は、まだモノがない時代でしたから、規格品を大量生産し、それを大量消費することで成立していました。でも、最近は、もうモノはあふれ、欲しいモノがあまりない状況になっています。誰でも持っているような、ありふれたモノでは我慢できなくなり、個性的なものを求めるようになってきました。
でも、大企業は、大量生産し、大量に販売しなければならないので、飽和した国内市場から、未開拓の海外市場へと進出し、売上を伸ばしてきました。ところが、今、世界的な大不況で、有望な市場が見あたらなくなってしまいました。
同じことを継続しながら、市場を拡大して売上を伸ばすことは難しくなってきているのです。
でも、よく考えれば、このようなやり方は、そのうち行き詰まることが明白です。日本がダメなら欧米。欧米がダメならその他の地域、、、と次々に進出していっても、これには限界があります。地球は無限大ではないからです。
大量にものを作って販売するというモデルそのものが、行き詰まりつつあるのです。
もちろん、発展途上国は違います。しばらくは、かつての日本のように大量生産された規格品が売れるでしょう。でも、そのような付加価値の低い製品作りは、コストの高い日本では競争力を持てません。
これからは、コストダウンの努力は当然として、他とは違う付加価値をプラスしなければならないのです。
このことは、もうかなり前からいわれていると思います。
ところが、今の商品を、違う市場で販売する方が儲けやすいので、そのまま継続されてきました。
しかしながら、そろそろ限界でしょう。もうこれを継続していてもダメだというサインが、この大不況なのではないかと思います。
そう考えると、この本で提案されている策も、「そんなこと無理」と安易に葬るわけにはいかないと思うのです。
一人でできることには、限界があります。大したことはできません。
でも、だからといって何もしないでいれば、結局、何も変わりません。
この本に書かれていることがすべてだとは思いませんが、一人ひとりが、発想を切り替え、行動を変えていく必要があることは間違いないと思っています。
ちょうど、総選挙も近いことですし、将来の日本、世界について、真剣に考えてみるのもいいタイミングかもしれません。
是非、ご一読下さい。
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