顧客満足は難しい
どんな仕事でも、顧客に満足していただくことは大変なことです。何を望んでいるのかを察知し、その期待に応える。言葉にすると簡単ですが、実際には難しいことです。
私たちの仕事の場合、さらに難しいのは、経営者が望んでいることに、そのまま応えていればいいとは限らないということなんです。
たとえば、ある経営者から、社員の考え方が間違っているから何とかして欲しいといわれたことがあります。まずは、社長からどんな状況なのかお聞きします。社長の言葉をそのまま受け止めると、確かに、社員たちに問題がありそうです。仕事に対する考え方が甘く、やるべきことをやっていないように思えます。
ただ、どちらか一方の言い分を聞いただけで判断するのは危険です。コンサルティングでは、誰か一人の言葉だけを信じることはありません。証拠を探すというと大げさですが、何らかの裏付けがなければ、事実として認めません。
従って、いくら社長のお言葉であっても、それを鵜呑みにすることはありません。自分の目で社員の様子を見たり、社員からも話を聞いてみたり、他の関係者から話を聞いたり、いろいろと情報を集めた上で、総合的に判断します。
そうするとですね。。。
たいていの場合は、社員だけが一方的に悪いということはありません。けんか両成敗じゃないんですが、社員も悪いが、社長にも責任がある、ということが普通です。確かに、現状を見れば、社員の態度、考え方に問題があることも間違いありません。でも、どうしてそうなったのかを確認してみると、そのきっかけを実は社長が作り出していたりすることが多いのです。
このケースもそうでした。
さて、ではどうするか。。。
社長のオファーは、社員を何とかして欲しいということです。社員の考え方が間違っているから、何とか教育し直して欲しいというような依頼です。これに応えるのが、私の使命です。
ただ、前述のように、こうなってしまった原因は社長にもあるので、社員だけを変えようとしても無理なんです。原因となったことを取り除かない限りは、根本的に解決しないんです。
そうすると、私の仕事は、社員に対する教育だけではなくなります。社長に対して耳の痛いことをいうことも、私の仕事になってくるのです。
しかしながら。。。
こういうことを喜んで聞いてくれる社長は、そんなに多くはありません。
そりゃそうです。いくら表現がソフトであっても、要は「社長が悪い」ということを申し上げるわけです。自分が悪いといわれて気持ちのいい人間なんていません。私だって、いい気はしません。
それでも、社長が聞きたくないことをいわなければならないこともあるのです。自分としてもあまり気が進みませんが、黙っているわけにもいかないのです。
難しいのは、いつ、どこで、どのように踏み込むのかということ。
正論をいえば、正しいと思うことは、相手のために率直に伝えてあげることがいいのだと思います。でも、現実的には、いろいろな要因があって、そんなにシンプルにはいきません。
いろいろな人が関係してできているのが会社なので、何か一つアクションを起こすと、様々な形でその影響が表れます。何かアクションを起こすときは、その全体に及ぼす影響を考えた上で、実行しなければなりません。
一部だけを見て行動を起こすと、良かれと思ってしたことでも、結果としては悪い方向に向かってしまうこともあります。
そんなことも考え出すと、一筋縄ではいかないのです。。。
さて、どうするかなぁ。。。
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