企業変革は、トップダウン & ボトムアップ

企業を変革したいと思ったら、リーダー主導で、トップダウンで進めることは欠かせません。

自然発生的に、ボトムアップで改革が進んでいくということはまずありません。たまたま、強力なリーダーシップを発揮できる人間がいれば別ですが、たいていの場合は、トップがきっかけをつくり、あとからメンバーが付いてくるという構図になります。

どうしてそうなるのかといえば、改革しなければいけないという危機感を強く感じているのは、トップだけだからです。社員は、トップほど危機感を持ってはいません。まったく危機感がない場合もあります。なので、変革はトップから始まります。

改革を始めるときには、強力なリーダーシップが必要です。何か新しいことを始めるためには、大きなエネルギーが必要になるので、そのエネルギーをトップが注入するのです。リーダー主導のトップダウンで改革を始めて、徐々に、社員をけしかけて、やる気にさせるのです。

でも、だからといって、最初から最後までトップダウンで進めようとしても、改革はうまくいきません。スタート時点では、トップ主導、トップダウンであっても、あるところまで進んできたら、社員の自主性に任せ、トップが引っ張らなくても、組織全体で自然に動いていくようにしなければなりません。

そうしないと、だんだんとやらされている改革になり、社員が疲弊し、組織全体が停滞していきます。やっかいなのは、この停滞というのは、目に見えにくいところです。

社長のトップダウンで動いている間は、社長の目には、それなりに動いているように見えるものなのです。やらされている改革であっても、社員は社長の意向を汲んで動くものなので、表面的には停滞しているようには見えません。ところが実際は、社長の命令だから仕方なくやっていて、やらされ感が強く、本当の改革には繋がっていないことが多いのです。

そこで必要になってくるのが、社員の自主性を引き出した、ボトムアップの活動です。社長にやらされるのではなく、社員自らが考えて、自らの意志で動いていく、能動的な活動です。

そのために、リーダーは、少しずつやり方を変えていかなければなりません。

ポイントは、「少しずつ」と「適切なタイミング」と「適切な介入」です。

「少しずつ」というのは、文字通り少しずつ変えていくということです。具体的にどういうことかを、禁煙を例に説明してみます。

ここに、1日20本喫煙する人がいます。ある日禁煙することを決意し、持っていたたばこを全部捨て、ライターも処分し、一切吸うのをやめてしまいました。

こういうのは、少しずつとはいいません。当たり前ですが。

こういうやり方でうまくいけばいいのですが、2,3日は我慢できたものの、ストレスがたまり、すぐにまた吸い始めてしまうというパターンになりがちです。

じゃあ、そうならないようにするために、少しずつ減らしていこうというやり方があります。

今が1日20本だったら、まずは1日18本。次は、1日16本。その次は、1日14本。

このように徐々に減らしていって、最後は1日0本、つまり禁煙に成功という訳です。

どちらが禁煙に成功しやすいかは、一概にはいえないような気がしますが、改革の時に重要なのは、少しずつ減らしていくというパターンです。一気にやめてしまうのは、大抵うまくいきません。

改革でいえば、それまでトップがリーダーシップを発揮してトップダウンで進めていたのに、ある日突然、これからは自分たちで考えて、自分たちの意志でやりなさいと、大きく転換するということになります。

これは、大抵失敗します。なぜなら、突然自分たちで考えろといわれても、どうしていいか分からず、戸惑うばかりだからです。そして、社員たちは、特に何かを改革をしたいという強い思いがある訳ではないので、そのうち何もやらなくなります。

社員が、自分の意志で改革したい、何かを実現したいという思いを持っていない段階で、社員任せにしてもうまくいかないのです。

なので、トップダウン100%から、徐々にトップダウンの割合を減らし、社員の自主性に任せるボトムアップの部分を少しずつ増やしていくというわけです。当然、そのときの社員の意識、モチベーションがどのような状態なのかを見極めて、ちょうど良い力加減で進めていくことが重要になります。

これが、「適切なタイミング」と「適切な介入」です。

もう完全に任せても大丈夫だなと思ったら、すべてを社員に任せる。

まだところどころでチェックしたり、口だししたりしないとうまく進まないなと思ったら、タイミングを見てチェックしたり、指示を出す。

今はまだ、一つひとつのステップを指示しないと動かないなと思ったら、ステップごとに指示を出す。

このように、今がどんな状況なのかを見極めて、介入度合いを変えていくことが重要です。

ところが、これは「言うは易く行うは難し」なのです。

たいていの場合、どうしても何か言いたくなってしまい、思わず口を出す、、、ということになるようです。

でも、本当にこれは要注意です。

なぜならば、せっかくうまく進んでいた改革なのに、社長が思わず口を出したために、すべてがリセットされるというケースが多々あるからです。

そうなんです。

すべてがリセットされるんです。

振り出しに戻ってしまうんです。

ちょっと、戻るだけじゃないんです。積み重ねてきたものが、すべて崩れるんです。

たったひと言、思わず口をだしてしまっただけで。。。

熟練したリーダーは、部下の状況に合わせた、適切な介入の仕方を心得ています。適切な任せ方、適切な仕事の与え方、適切な指導法といってもいいかもしれません。

これがうまくできるようになれば、企業変革もうまく進められるようになると思います。

トップダウンからボトムアップまで、状況に合わせて主導できれば、改革も成功します。

リーダーには、状況を読む力と、その状況にうまく対処する力が求められるのです。