組織改革における2-6-2の法則 その1

組織改革をしようと、何か新しいことを始めようとしたとき、社員全員が賛成して、スムーズに物事が進んでいくということは、まずあり得ません。世の中に「絶対」ということはない思いますが、この点については、「絶対」といっていいほど、スムーズには進みません。

もし、スムーズに進んだとしたら、それは本当に改革といえるような内容なのか疑問があります。全員が素直に受け入れ、スムーズに実行されるようなことは、あまり変化していないと考えられるからです。

今までとは違うことをやろうとすれば、必ず誰かが反対します。面と向かって反対しなくても、心の中では反対で、積極的に行動しないということもあります。組織改革をしようとすると、必ずこのような人が存在するので、スムーズに進んでいくことはあり得ないのです。

これを、2-6-2の法則で語ると、賛成派が2,どっちでもない派が6,反対派が2ということになります。もちろん、正確にいえば、数字は違ってくるでしょうが、積極的賛成派と積極的反対派が割と少数で、別にどっちでもいいというあいまいな人が、多数派を占めるということは間違いありません。

やっかいなのは、改革当初は、反対派の声に、どっちでもない派が影響を受けることです。どっちでもない派は、言い換えるとどっちでもいい派でもあるので、声の大きい方に付くのです。改革を始めようという時は、賛成派も声を大にしてアピールしますが、反対派も何とかそれを阻止しようとするので、とても強いアピールが行われます。人間は、基本的に変化を嫌うものなので、反対派の方が有利になりがちなのです。

そうならないようにするために、いくつかの策があります。

  1. 最初の一歩は小さくする
  2. 声の大きな人間を押さえる
  3. 理論武装する

以上の3つです。では、具体的に説明します。

1.最初の一歩は小さくする

繰り返しになりますが、人間は変化を嫌う生き物です。大きな変化であればあるほど、抵抗感が大きくなります。ならば、抵抗感が小さくなるように工夫すればいいのです。つまり、変化を小さくするわけです。「このぐらいなら、まあいいかな」と思わせるように、最初の一歩を小さくすれば、抵抗が減って、スムーズに動きやすくなります。

そして、少し動き出したところで、次のステップに進みます。このステップも小さな変化にすれば、あまり抵抗されません。これを続けていけば、抵抗感は少ないものの、気がつけばいつの間にか大きな変化になっているという訳です。

ただ、これには改革に時間がかかるという問題もあります。改革というものは、実を結ぶまでにはかなり時間がかかるものではありますが、ステップの一つひとつが小さいために、より時間がかかってしまうということは否めません。着実なやり方ではありますが、急いで改革したい場合には向きません。

2.声の大きな人間を押さえる

改革に反対する人は、改革案そのものに反対しているというよりも、感情的に、何となく反対しているという場合も少なくありません。自分は何も知らないところで新しい方針が決まった場合、あとから聞かされた人間はあまり面白くありません。平社員なら、偉い人が決定したことをあとから聞くものかもしれませんが、それなりのポストに就いていて、力のある人であればあるほど、蚊帳の外に置かれた印象を持ってしまい、感情的に面白くありません。

そんな状態でも、冷静に新しい方針を見極めて、いい、悪いの判断をしてくれればいいのですが、普通はそうはなりません。面白くない幹部は、反対します。もっともらしい理由をつけるので、結構やっかいな存在になります。

そんなことにならないように、そのような人には、全体に発表する前に相談しておくなど、きちんと押さえておくことが必要です。

いわゆる根回しですが、これはやはり重要です。人間は感情で動く生き物なので、様々な配慮が欠かせません。面倒くさいことではありますが、ここを省いてしまうと、あとで苦労することが多くなります。

つまり、動き出してから反対されて、身動きできなくなったりするということです。

根回しをうまくしておけば、やっかいなことは動き出す前に片付けられるので、非常に重要になるわけです。

3.理論武装する

なぜ、このような方針になったのか。なぜ、このような改革が必要なのか。

誰が聞いても納得できるような理論が必要です。現状の事実に基づき、理論的な裏付けを明確にして、なぜ、この改革が必要なのかを説明する必要があります。

もちろん、理論的に説明できない部分もあります。たとえば、現状の打開策としてA案とB案があるとしましょう。理論的にいえば、どちらも正しい策で、その効果や実現可能性もあまり違わない。それでもどちらかに決定する必要がある。このような場合は、最終的にはリーダーがどちらかに決めることになります。理論的に決めるというよりも、こうしたいから、という思いで決めることになるでしょう。その部分は、確かに理論武装はできません。

でも、こうしたいという思いがあるわけですから、情熱を持って語れば、聞く人を説得できるはずです。

組織のリーダーである以上、自分の思いで決めるとはいっても、多くの人に共感してもらえ、協力してもらえるような決断が求められます。そのような決断ができていれば、多くの人が納得してくれるでしょう。

もっとも、多くの人が反対するような案を押し通す場合もありますね。改革しようとしているわけですから。ただ、その場合は、やはりリーダーとして覚悟を決めているでしょうから、その覚悟を見せて、引っ張っていくしかありません。

以上、3つの策でしたが、これらはどれか一つを選んで実行するというわけではありません。状況や目的に応じて、すべてを使いこなすことが必要です。

さて、これらの対策をするのは、必要以上に反対派の声を大きくしないためです。

改革をしたい人は、大胆な行動を好む傾向にあるようです。たとえば、大きな改革を、根回しもせずに大胆に展開しようとするわけです。もちろん、状況によってはそうすることがベストな場合もあります。かなり追い込まれた状況の場合は、あれこれ余計なことを考えている暇も、余裕もありません。とにかく絶大なるパワーで押し切ってしまう必要があります。

ただ、たいていの場合は、そこまで追い込まれた状態ではないと思います。そのようなときに、根回しもせず、大胆に改革しようとすると失敗します。

あれこれ根回ししたり、少しずつ進めるというのは、あまり格好のよいものではありません。ヒーローのやることではないようにも思えます。逆に、多くの反対を押し切って、改革を断固進めるという姿は、ある意味ではとても格好よく、ヒーローのようです。だからなのか、ヒーロー的な行動を好む改革者が多いようです。

でも、しつこいようですが、それは失敗する可能性が高いです。

経営者は結果がすべて。

改革を実行するときには、細心の注意を払い、慎重に行動するべきです。

大胆に動くのは、そのタイミングが来たときだけ。

じゃあ、そのタイミングって何なのでしょう?

それは、また、次回。