組織改革における2-6-2の法則 その2

前回、組織改革を始めるに当たって、反対されて失敗に終わらないようにするための方策をまとめました。

そのポイントは、

  1. 最初の一歩は小さくする
  2. 声の大きな人間を押さえる
  3. 理論武装する

の3つです。

ポイントは、理論的にも感情的にも反対されないように注意をするということです。感情的に反対されないようにするためには、人の気持ちを考えて、慎重に行動することが重要です。

ただ、改革を進めていく上では、大胆に動くことも必要になります。そうしないと、結局、あまり状態が変わらず、改革にならないからです。だからといって、初めから大胆に動いてしまうと失敗する可能性が高い。では、どういう状況なら大胆に動いてもいいのか。それが、今日のテーマです。

大胆に動くタイミングを計る基準は、いくつか考えられます。

たとえば、ある目標をクリアしたとき。改革を進めていく上では、長期的なゴール(目標)とともに、まず最初にここまで到達しようという目標を決めます。ゴールが遠すぎると頑張りきれないので、すぐ達成できる、身近な目標を設定するわけです。その目標を達成したことをきっかけに、大胆に動いていこうというやり方です。

目標を達成したということで、達成感もありますし、「できた!」というちょっとした自信も生まれています。そのため、勢いが付きやすいので、「ここからさらに気合いを入れて進めていこう」「もっと幅広く展開していこう」などと一気呵成に攻めるというイメージがつくれます。

特に、目標達成期限よりも早く、前倒しで目標達成ができたときなどは、有効になるでしょう。当初の予定よりも早く達成できているわけですから、更なる加速もしやすいというわけです。

ただ、この場合に考えられる懸念としては、どんどん負荷が大きくなっていくという負担感の増大です。

「目標を達成するために、必死で頑張ってきて、今回は目標を達成できてホッとした。しかも早く達成できて良かったと思っている。でも、これは必死に頑張ってきたからできたことで、これを継続しろといわれると、それは結構きつい。。。」

こんな風に考える社員も少なくないからです。

そうならずに、勢いをつけられるのは、組織の一部で始めたことを、全面展開するという場合です。これなら、特定の社員、部署に過度な負担を強いるのではなく、一つの小さな成功を全社的な展開に広げ、改革を勢いづけることが可能です。

もう一つは、これといった明確なきっかけではないのですが、改革に対する積極的参画者が一定数を超えたところで、スパートをするというものです。

これが、2-6-2の法則に関係しています。

この2-6-2というのは、会社全体を見た場合にも2-6-2になりますが、最初の「2」の中も2-6-2,真ん中の「6」の中も2-6-2、最後の「2」の中も2-6-2と、すべてが2-6-2になります。

会社全体でいうと、たとえば、全体の2割が改革に積極的賛成派で、6割が賛成・反対どちらでもない派、残りの2割が積極的反対派になります。ただ、全体の2割の積極的賛成派が、皆同じように賛成しているかというとそんなことはありません。

積極的賛成派の中でも、さらに2-6-2の割合で、積極さや賛成の度合いが違っています。最初の2割、つまり、全体でいえば2割の中の2割なので全体の4%は、無条件で賛成で、本当に積極的に自ら進んで行動します。真ん中の6割、全体でいえば12%は、賛成ではあるものの、自ら進んで行動するというところまではいかない層です。それでもスタンスとしては、協力的で、何をやるか決めれば、しっかりとやってくれる層です。最後の2割、全体の4%は、賛成か反対かといえば賛成だが、他にいい案がないから賛成とか、理屈で考えるとこうなるから仕方ないね、というような、消極的な賛成派です。従って、積極的に行動はせず、決まったことなら、まあやりましょうという、行動に関しては腰の重い層です。

上記の説明は、あくまでも一つの例ですが、賛成派の中にも積極的に行動してくれる人とそうでない人がいるということは、きちんと押さえておかなければなりません。

まず最初にやらなければいけないのは、このとりあえず賛成してくれている全体の2割を、全員、本気で、積極的に行動していくように仕向けることです。つまり、積極的賛成派の中の、真ん中の6割とやや消極的な2割を、より積極的な賛成派にしていくということです。

なぜ、そんなことをするのかといえば、改革に前向きに取り組む人を増やし、全体としての動きを大きくしていきたいからです。

やることは、前向きに活動に取り組んでいくよう、リーダーが働きかけていくことです。具体的にいえば、活動を奨励する、活動の意義を伝える、活動の成果を明らかにし、称賛するなどです。活動を強制して無理矢理やらせるのではなく、自分から進んで活動するように仕向けます。

誰でも、いい結果が出るようになったり、自分の活動を認められたりすれば、モチベーションが上がります。社員のモチベーションが高くなるように、褒めたり、励ましたり、活動の意義を伝えたり、あらゆる手を使います。

そうこうしているうちに、会社全体の2割である積極的賛成派の中で、半分くらいの人間が、積極的賛成派の中の積極的賛成派として、自らの意志で、積極的に活動するようになります。そうなると、それにつられて、積極的賛成派全体が、誰かの指示や命令によってではなく、自分たちの意志で行動していくようになります。

そうなったら、慎重に行動する段階から、大胆に動くタイミングです。なぜなら、全体の2割である、積極的賛成派がかなり行動的になっていて、組織全体を引っ張っていける体制が整っているからです。

そこで全体の6割であり、全体の中の多数派である「賛成でも反対でもない派」を動かすようにします。特に目新しい何かをする必要はありません。ただ、「改革の成果も出てきているので、みんなでがんばって行こう」というようにはっぱをかけることは必要です。積極的賛成派である全体の2割の社員が、自らの意志で積極的に動くようになっているので、「賛成でも反対でもない派」も徐々に影響を受けて、自ら活動するようになっていきます。

「賛成でも反対でもない派」も2-6-2に分けられるので、最初は、賛成派に近い2割が動き出します。それにつられて、真ん中の6割が動き出します。最後の2割も、みんながやっているから仕方なくやるか、というようなモチベーションかもしれませんが、動き出すようになります。

ポイントは、全体が動くように音頭を取るのと同時に、一番やる気のある層をさらにやる気にさせることです。行動していない層ややる気のない層に働きかけて、無理矢理行動させようとしてはいけません。行動しないとペナルティとか、叱責するとかもあまりよろしくありません。

やるべきなのは、やる気があって、積極的に行動している層を称賛し、さらに行動するように働きかけることです。

こんなことをいうと、次のような疑問を持たれるかもしれません。

一番やる気のある層は、黙っていても行動するのだから、放っておいても良いのではないか。
逆に、行動していない、やる気のない層を何とかした方が良いのではないか。

ところが、そうではないのです。

まず、やる気があって、積極的に取り組んでいる層を、本当に放っておいたとしたら、そのうちバカバカしくなってやめてしまうかもしれません。新しいことにチャレンジすることの意味を見失って、元に戻ってしまうかもしれません。そうならないようにするために、新しいことに積極的にチャレンジしている層には、チャレンジしていること、その成果を称賛し、さらに行動するよう働きかける必要があるのです。

一方、行動していない、やる気のない層に対して、無理矢理行動させようとするとどうなるか。無理矢理やらせているので、真の改革は実現できません。なぜなら、心の中で反発しながら、形だけ、表面だけ取り繕ってなんとかしようとするからです。そういう状態では、何とか手を抜こうとしたり、うまく取り繕うところだけが上手になるだけで、根本的な解決にはならないのです。その上、不満が募っていくので、他のメンバーに悪影響を及ぼすこともあります。

確かに、行動していない、やる気のない層も、何とかしなければならないのですが、やるべきことは、自らの意志で行動するようにすることで、何が何でも行動させることではないのです。少なくとも、改革しようとしている場合には、無理矢理やらせても意味がありません。

それでは、自らの意志で行動するようにするためにはどうしたらよいか。

自らの意志で行動することを奨励し、そのように行動している社員を称賛し、そのように行動している社員を厚遇することです。そうすれば、厚遇されている社員を見習って、徐々に変わっていきます。

もっとも、それでも変わらない社員もいるかもしれません。最終的には、そのように変わらない社員は、放っておくことです。もちろん、変わらない社員の割合が、半分以上いるという場合は、もっと努力が必要です。でも、全体の2割が、あまり変わらないというような場合は、もう放っておいてもよいでしょう。残りの8割が変化しているわけですし、成果はそこから上がってきます。残りの2割に無駄なエネルギーをかける必要はありません。

放っておくといっても、「別に頑張ってやらなくても、何も問題ないんだ」とは思われないようにする必要があります。

基本的な考え方は、やっていない人にペナルティを与えるというよりは、やっている人を称賛し、評価する方向を意識した方がいいと思います。やる気のある人を引き上げることによって、全体のレベルが上がっていくことを目指すということです。

最後に、繰り返しになりますが、組織を動かすときには、動いている人を称賛し、評価することが重要です。そうすれば、それに引っ張られて動く人が増えていきます。

逆に、動かない人にペナルティを与えるやり方は、ペナルティ逃れをするだけになり、本当の改革は実現できないことが多いでしょう。

企業変革、改革は、忍耐の必要な、地道な活動になりますが、原則を踏まえて活動を継続していけば、少しずつ目指すべき姿に近づいていきます。それが、他の企業との差別化の要因になるので、地道にやり続けていきましょう。

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