ドラマに学ぶ!企業変革「病院の治しかた~ドクター有原の挑戦」第6回(1)「中小企業の戦略とビジョン」

次の一手は、救命救急センターの開設。
ところが、銀行からは追加融資が認められません。
その理由は、有原総合病院ならではのビジョンがないということ。
単なる大病院のミニチュアでは意味がないという、米田副頭取の考えです。
さあ、どうする?

中小企業は、大企業とは違った経営戦略、ビジョンが必要です。
同じことをやっていたのでは、規模の違いで勝負にならないからです。

もっとも、大企業と違えばいいのかといえば、もちろんそうではありません。

自分の会社が目指すビジョン、経営理念に則り、自社ならではの戦略を描く必要があります。

有原総合病院は、地域の皆さんが24時間365日安心して医療を受けられることを目指しています。そのためには、自分の病院だけではなく、その地域の医院などとも連携し、医療の体制を作り上げていきます。

今回チャレンジする「救命救急センター」の開設は、すでに行っている救急医療の発展型になると思われますが、単なる「救命救急センター」では、すでに存在している大病院との違いがありません。

同じようなものを、規模の小さな病院があとからつくっても、すでに存在している大病院に勝てるはずがありません。ビジネスとして成り立つかどうかも疑問です。

そのため、銀行から融資を断られてしまいます。

そんなとき、リハビリを嫌がる患者さんを見て、自分たちの病院がやるべきことを見つけます。

それは、退院を支援する病棟を作ることです。

患者さんを見て、患者さんの思いに寄り添って、患者さんがどんなことで悩んでいて、どうすれば解決できるかを考えた結果として、導き出された答えです。

つまり、患者さんの中には、リハビリが終了しても、自宅に帰って普段通りの生活ができるかどうか不安を感じる人も多いということ。リハビリが終わるということは、身体の機能を回復させることにはなりますが、普通に生活できるということとは違います。

家族と一緒に住んでいれば、いろいろなサポートもありますが、一人暮らしでは、すべてを一人でやらなくてはいけません。とりあえず身体が動くようになったとしても、買い物に行ったり、料理をしたり、掃除をしたりという普通の生活ができるかどうかは、まだ不安が残るというわけです。

それを察した院長は、身体の機能のリハビリだけではなく、日常生活に戻るためのリハビリも受けてもらおうと考えたわけです。

これなら、大病院とは違い、有原総合病院ならではのサービスです。

中小企業が得意とする、お客さんに寄り添ったサービスであるといえます。

あとから振り返れば、いいところに目をつけたというだけの話になってしまうかもしれません。でも、こういうことに気付くのは、日頃から意識をしているからです。いつも、お客さんは何に困っているのだろう、何が悩みなんだろう、それはどうしたら解決できるのだろうということを考え続けていると、あるときパッとひらめいたように見えてくるのです。

これは単なる偶然ではありません。

繰り返しになりますが、日頃から、トコトン考えているからこそ見えてくることなのです。

中小企業ならではの戦略やビジョンは、トコトンお客さんに寄り添って、つくり出すことが重要です。

そのいい例が、今回の事例だったのではないかと思います。