幹部社員は自前主義で育てた方がいい理由

中小企業では、なかなか幹部社員が育たないという話をよく聞きます。
ふさわしい人材がいないとも言われます。
本当にそうでしょうか?

確かに、中小企業は、管理職(マネジャー)が育ちにくい環境かもしれません。

社員数が少ないので、マネジャーのポジションも少なく、あまり入れ替わらないことが多いからです。

規模が大きくなればポジションも増えますが、そうでないとずっと同じ顔ぶれ、ずっと同じ関係になりかねません。

そうすると、若手社員はいつまでも若手社員の意識のままになり、自分が人を育てようとか、組織をまとめていこうとか、リーダーシップを発揮しようなどとは考えないものです。

大手の企業では、規模が変わらなくても、定年退職などでの入れ替わりもあるので、ポジション不足は中小企業ほどではありません。若手社員が、自分が課長や部長になるイメージを持ち、そこに向けて努力しようという意欲も持つでしょう。

また、大手の企業では同期の社員が大勢いるので、自然に競争が生じます。そうすると、誰かに何かを言われなくても、自分から努力しようという意欲も生まれます。

中小企業の場合は、自分が課長や部長になるイメージもなく、競争もないので、自分から努力をしていこうという意欲が出てこないかもしれません。

以上のことから、中小企業では、マネジャーが育ちにくいといえます。

でも、それは、マネジャーにふさわしい人材がいないということとは違います。

マネジャーが育ちやすい環境ではないというだけです。

ですから、意図的に、意識してマネジャーが育つような環境をつくっていけば、現在いる社員の中から、立派な幹部社員が育つ可能性はあるのです。

今は、それをやっていないから育たないというだけなのです。

ですから、中小企業でも、幹部社員を育てる気になれば、育てられるはずなのです。

では、幹部候補として中途採用することはダメなのか。

絶対にダメというわけではありませんが、うまくいかないケースが多いようです。

理由はいろいろでしょうが、一つは、幹部社員の仕事の性格上、長く勤めている社員の方がやりやすいということがあります。

幹部社員の仕事は、自分がプレイヤーとして何かをするわけではなく、部下を使って成果をあげていくことです。人を動かして、仕事をしていくのです。

それは、中途採用の人間でもできることではありますが、信頼関係が築けていないうちはうまくいきません。また、場合によっては周囲の反発や抵抗が起こる可能性もあります。

さらに、中途採用の人間は、その会社の社風にすぐにはなじめないということもあるでしょう。社長の考え方、経営理念などについても、長くいる社員に比べれば、理解度が落ちることは否めません。そうすると、社員を動かして何かをしていくときに、大きなハンディになります。

ですから、過去にどんな実績があったとしても、それが今発揮できるとは限らないのです。

また、採用するときに見た職務経歴書の中身は、少し割り引いて考えないといけない可能性があります。社員の側からすれば、採用して欲しいので、少しでもよく見せようとします。だからといってウソを書くということはないでしょうが、多少、美化して、よく見せようとしている可能性が高いわけです。

それを見て採用した訳ですから、当然期待値は高くなります。でも、現実はそこまでのものではなかったとも考えられます。さらに、新しい環境では力を発揮しにくいので、期待通りの仕事はなかなかできません。

期待してたけど、それほどじゃないな…

そんなことになりかねないのです。

仕事がうまくいかなければ、本人にとってもモチベーションが下がるでしょう。この会社で働くことが自分にとっていいことなのか疑問を持ってしまうかもしれません。

入社してまもなくであれば、会社に対する愛着はないので、何が何でもこの会社でがんばろうという気持ちもないでしょう。

採用した側の評価も下がり、何となく対応が冷たくなったりすると、さらにモチベーションは下がるでしょう。

最悪、すぐに退職してしまう可能性もあります。

そこまでいかなくても、期待したとおり、幹部社員として力を発揮してくれるとは限らないのです。

だとしたら、長く勤めている社員を育てていく方がうまくいく可能性が高いともいえるのです。

長く勤めている社員は、会社に対する愛着もあるでしょう。

周りの社員との信頼関係もできています。

あとは、マネジャーとしてのスキルやリーダーシップなどを身に付ければいいのです。

時間はかかるかもしれませんが、それを想定しておけば、特に問題にはならないはずです。

若いうちから、将来の幹部に育てるつもりで、育成していけばいいわけですから。

中途採用が絶対ダメということはありませんが、リスクが大きいのも事実です。

ですから、基本的に幹部社員は、自前で育てていくつもりでいる方がいいのです。

長い目で見て、地道にやっていけば、必ず、素晴らしい幹部が育つはずですよ!