テレワーク~社員はちゃんと働くのか?

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
できる人は、自宅で仕事をするように要請されています。
社員は監視されていなくても、しっかりと働くのでしょうか?

もう20年前の話になりますが、私は、コンサルティング会社に転職しました。

その会社では、社員一人ひとりにパソコン1台と携帯が支給され、自宅で仕事をすることも可能になっていました。実際、自分で申告すれば1日自宅で仕事をしてもよかったですし、午前は自宅で午後から出社、外出先から直帰して自宅で仕事などということも可能でした。

おまけに裁量労働制でしたので、朝9時から夕方18時まできっちり働かなければならないという制限もありません。

自分で決められるのです!

なんて素晴らしいんでしょう!

というのは、建前というか、一応そういう制度になっているというだけでした。。。

正確にいうと、ベテランはおおむね制度通りですが、新人は上司次第でした。

自宅での仕事は上司の許可があればOKですが、最初のうちはそうもいきません。

勤務時間も自由なはずですが、最初のうちは決まった時間に出勤して、帰りはいつになるか分からないというのが現実でした。つまり、上司の都合によるということです。打ち合わせは上司が外出から戻ってからということも多いので、そうすると19時から打ち合わせとかいうことになるわけです。

まあ、これは、仕方がないことでもあります。というのは、新人は自分一人で仕事ができず、上司の指示、指導が必要だからです。実際、自分で仕事を回せるようになってからは、自分で決められる範囲が増えていきました。

そんなある日、自宅作業をしようということにしたんです。

ちょうどその頃は繁忙期だったので、毎日会社に22時、23時位まで残って仕事をしていました。遅くまで残っているのは、上司に確認してもらう必要のあることがあったからです。確認してもらい、修正し、また確認してもらい、などということを繰り返していたので、遅くまで残っていました。

ある日、それが一段落し、後は自分でやればいいだけという状態になりました。

そこで私は、「明日は自宅作業にしよう!」と思ったのです。

上司に確認してもらう必要もないし、ここのところ遅くまで残っていて疲れているし、自宅でやってしまえば通勤時間もかからないし、「これがチャンス!」と思ったわけです。

1日自宅で仕事をして完成させたら、その次の日に上司に最終確認をしてもらえばいいなと思ったのです。

で、次の日の予定に「自宅作業」と記入し、帰宅しました。

その会社では、自宅作業や外出している場合には、昼と夕方に会社に連絡を入れることになっていました。ですから、朝から自宅で仕事をして、昼ぐらいに連絡を入れようと思っていました。

すると、朝10時頃、携帯がブルブル動き始めました。

「何だ?」と思って見ると、会社からの電話でした。

「はい、小野瀬です」
「あ、俺だ」(上司の上司でした)
「おはようございます」
「おはよう」
「・・・」(要件を待つ)
「ところで、今どこにいる?」
「自宅ですが」
「何やってる?」
「Aプロジェクトのまとめです」
「あ、そう。どこまで進んでる?」
「最終のところまでBさん(上司)に確認してもらいましたので、最後の仕上げです」
「お、そうか。で、今、やってるのか?」
「はい、やってますが・・・」
「お、そうか、、、それならいい」
「???」

こんな感じで、電話は終わりました

何だったのだろうと思ったのですが、どうやら、私がサボっているのではないかと思ったようなのです。

上司としては、部下がきちんと仕事をしているかどうか不安になるのかもしれません。当時は、まだ入社して1年弱ぐらいだったので、上司の上司から信頼されているとはいえず、だから心配だったのでしょう。

でも、私はがっかりしました。

すでにコンサルタントとしてバリバリやっている人たちは、クライアント先に行っていることが多く、たまにしか出社しないのが当たり前でした。私は、覚えることも多いことと、上司の指示のもとリサーチしたり、資料をつくったりするという作業が多いので、原則毎日出社していました。でも、同じ仕事を担当している上司とは顔を合わせるものの、仕事が違う人とはあまり顔を合わせないのです。ですから、上司の上司とは、それほど話す機会もありませんでした。

ですから、信頼されていなくても当たり前といえば当たり前です。

でも、私には、仕事をさぼるという考えはひとかけらもなく、むしろ、人より多く勉強し、人より多く働いて、1日でも早く一人前のコンサルタントになろうという思いで、毎日仕事をしていました。

いいのか悪いのかはなんともいえませんが、当時、残業することは当たり前でした。それも、今日やらなければならないことがあるからではなく、将来に向けた勉強のために残業するのです。

リサーチを指示されたら、必要なことを調べるのはもちろん、その周辺情報も含めて調べました。そうすることによって、リサーチしている業界のことなどにより詳しくなれ、それが将来の仕事に生きてくるからです。

リサーチすることがなくても、読んでおいた方がいいという本を読むために残業したりしていました。これも将来の仕事に役立つだろうということで、とにかく、なるべく早くコンサルタントとして第一線で活躍できるようになりたかったのです。

もっといえば、往復の電車の中でも本などを持ち帰って読んでいました。休みの日は、持ち帰った本を読むこともありましたし、ビジネススクールに通うこともありました。

当時は、とにかく、毎日毎日、すべての時間を仕事&勉強にあてていました。

それも、とにかくなるべく早くコンサルタントとして第一線で活躍できるようになりたかったからです。

ですから、私には、サボるなんてことはあり得なかったのです。

「早く一人前になりたいから、どんどん仕事がしたい」というようなことは、その上司の上司にもいったことがありました。

ですから、私が自宅でサボっていると思われるのは、本当に心外でした。

別にその上司の上司に認めてもらおうと思って勉強していたわけではなく、自分のためにやっていたことなので、上司の上司にどう思われようが関係ないということもありました。

でも、やっぱりがっかりしたことは否定できません。

そして、何となく、この上司の上司に対しては、距離を感じるようになりました。

上司が不安になる気持ちは理解できます。

でも、それがあからさまに部下に伝わるようなことは避けた方がいいでしょう。

上司が信じていないということを、部下が感じ取るからです。そう感じた部下が、上司を信頼するということもなくなります。信頼関係を築くことができないのです。

不安で電話するのなら、もう少し工夫すればいい。

たとえば、ちゃんと仕事をやっているかどうかを確認するという電話ではなく、順調に仕事が進んでいるかどうか、困っていることはないかを確認する電話にすればいいのです。

同じような会話でも、受ける方の印象は全然違います。

一番いいのは、「電話するのを我慢する」ことです。

確認するとしても、私のケースであれば、私の上司に確認するだけにしておく。

私が仕事をしているかどうかを確認するために電話してくるということは、私を疑っているのと同時に、私の上司を信じていないということにもなるからです。

テレワークでは、プライベートと仕事の境目が曖昧になるので、会社側も何らかのチェック体制をつくる必要があるでしょう。特に、たまにテレワークというより、毎日がテレワークということになると、きちんとした体制を整えておく必要があります。

ただ、一定のルールを定めたら、あとは信じることも重要です。

そうしないと、信頼関係が崩れます。

距離が離れていてもうまく仕事ができるかどうかは、信頼関係ができているかどうかで大きく左右されるでしょう。

信頼関係ができていて、いい雰囲気で仕事ができている場合は、テレワークになってもそれほど問題はないでしょう。

一方、信頼関係ができておらず、上司に監視されているから仕事をこなしているという場合は、当然、テレワークにすると問題が起こるでしょう。

テレワークの成否は、その組織の成熟度、チームとして機能しているかどうかによるのではないでしょうか。