問題のある上司のことを、社長に進言する方法
組織の中にいると、時に、あまり見たくない物を目にすることがあります。
たとえば、私は若手の平社員だとしましょう。オーナーでもあるワンマンの社長がいて、30人程度の会社だとします。
私の上司は、社長がいると社長のいいなりです。社長が右といえば右、左といえば左。ニコニコ、おべっかを使って、ご機嫌をとっているのが見え見えです。
ところが、社長がいない部門会議になると、態度が豹変します。平気で社長の悪口をいうのです。
「社長はやれっていうけど、こんなのできるわけないよな」
「社長は、現場をわかってない。だからあんなこといえるんだ」
あれれ?!
社長の前でいってたことと違うじゃん!!
ちょっと大げさに書いているので現実感が乏しいかも知れませんが、似たようなことは現実に起こっています。
困ったことに、このような上司が、社長のお気に入りだったりすることもあります。何せ、社長の前では調子がよく、社長が気に入ることだけをやるので、気に入られてしまうのです。
でも、部下の目からは、この上司が社長に対して、面従腹背だということが見えています。
こんな時、部下である私はどうするべきでしょうか。
上司のことを社長に進言するべきなのでしょうか。
進言するとしたら、どのようにするべきなのでしょうか。
それとも、触らぬ神にたたりなしということで、黙っておく方がいいのでしょうか。
一番簡単なのは、黙っておくことです。ただ、それではひょっとすると、組織の中に大きな問題を抱え込むことになります。若手社員の立場ではそんなことまで考えられないかも知れませんが、黙っておくという選択肢は好ましいとはいえません。
では、どのようにすればよいのでしょうか。
社長にストレートにいえばいいのか。
他の上司に相談するべきなのか。
とりあえずは身近な先輩に相談するか。
どれが正解かというのは一概にはいえませんが、よっぽど社長との信頼関係ができていない限り、直接進言するのは危険です。
なぜなら、この社長は上司のことがお気に入りで、上司を信じているからです。若手社員よりもキャリアがあり、年長である上司を信じているのですから、若手社員が何かいったところで、きちんと聞いてくれるかどうか分かりません。
あげくに、進言したことが社長から上司に伝わって、大変なことになるということもあります。
ですから、大抵は誰かに相談するでしょう。でも、相談する相手が問題です。
自分の味方であり、力となってくれる人をいかに捜すかが大切です。その味方が増えれば増えるほど、うまくいく可能性は高まります。
これはいうほど簡単ではありませんが、地道に頑張るしかありません。
では、仲間が集まったらどうするか。
いくら仲間が集まったとしても、ストレートに進言することは望ましくはありません。その理由は、自分一人で進言するときと同じです。
結局は、その上司が社長のお気に入りですから、いくら何かいってみても無駄になる可能性が高いのです。
自分が信頼している人のことについて、自分が考えている姿と違うことをいくら聞かされても、そう簡単には信じようとしません。
なぜかといえば、結局は、「あなたが間違っている」ということをいわれているからです。
「間違っている」といわれれば、プライドの高い人ほど頑なになります。その人が、よほど聞く耳を持っていない限りは、きちんと聞いてもらえないでしょう。
それでも聞いてもらうためには、自分の信用を高めるしかありません。そのためには仕事で実績を積んでいくしかないでしょう。
しかしながら、たとえ信用されるようになったとしても、ストレートに対峙することは、やっぱり得策ではありません。
自然に社長が気づくように仕向けるか、問題が起こりにくい状況をつくる方がベターです。
今日の例でいえば、上司の日常の姿を、社長が目にするように仕向けるとか、上司が態度を変えられないような状況をつくるということです。
具体的にいえば、社長がいなくなるとコロッと変わるわけですから、いつも社長がいるところで会議をやるようにうまくセッティングをするという手もあるでしょう。あるいは、反対に、社長がいないはずの会議をこっそり見てもらうとか、録音するということもあるかも知れません。
でも、後者はあまり気持ちのよいものではありませんし、あとで問題になる可能性があります。個人的には好きではありません。でも、一つの手ではあります。
もちろん、時にはストレートに、真っ向勝負でぶつかることが望ましいときもあります。
でも、お互いの関係、伝えたい内容、社長の性格、そのときの社長の精神状態など、いろいろな要素を見ておかないと、うまくいかないことが多いのも事実なのです。
急がば回れ。
何かを成し遂げたいときには、一見するとまどろっこしくても、適切な手順で進めていくことが大切です。
特に、人と人の関係がカギになってくる場合は、じっくりと進めていく必要があります。
感情的になるとろくなことはありませんからね。
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