顧客満足につながる従業員満足とは何か

労働条件や給料は、不満を解消するが、満足度を高めるものではない
前回、以下のような満足では、顧客満足度を高められるわけではないと書きました。
- そんなに仕事はきつくない
- 残業もほとんどない
- 適当にやっていても怒られない
- 給料はまあまあ。仕事が楽だからOK
- 有給も時期を考えればそこそことれる
- 仕事は面白くはないけど、まあ満足している
上記の項目は、ほとんどが労働条件に関わることなので、顧客満足度を高めようというモチベーションにならないということも書きました。
では、どうしたらいいのか。
その説明をするために、ここでアメリカの心理学者、フレデリック・ハーツバーグが提唱した、動機付け・衛生理論をご紹介します。
ハーツバーグは、満足度を高める要因(動機付け要因)と、不満を解消する要因(衛生要因)が別のものであるとしました。
ハーツバーグの動機付け・衛生理論
動機付け要因 | 衛生要因 |
---|---|
達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長 | 会社の方針と管理、労働条件、給与 |
満足度を高める要因(動機付け要因)を高めると満足度が高くなる 逆に低くなっても満足しないだけで、不満になることはない | 不満を解消する要因(衛生要因)を高めると、不満は解消されるが満足度が高くなるわけではない 逆にこれが低くなると不満足感が増える |
前回からの例は、衛生要因(労働条件、給与)について不満はなく、動機付け要因(仕事そのもの)については満足していません。両方合わせると「まあ満足」であり、本当に満足しているわけではなく、不満もないし、「まあいいか」という状態です。
そんな状態では、顧客満足を高める仕事をするはずもありません。
本当の従業員満足のためには、「仕事そのもの」や「仕事の達成感」「結果への承認」が重要
本当に従業員が満足し、顧客満足を高めるようにするためには、衛生要因を高めるのではなく、動機付け要因を高めなくてはなりません。
つまり、「仕事そのもの」や「仕事の達成感」「結果への承認」です。
これらの要因について、満足度が高くなるということは、顧客にとっていい仕事をしているということになるでしょう。たとえば、接客という仕事が好きで、いい接客をしたことにより、お客様から「ありがとう」といわれたという経験があったとしましょう。
これは、接客という「仕事そのもの」が好きで(満足し)、お客様から「ありがとう」と承認された(結果への承認)ということです。
このような経験をすれば、もっとお客様に喜んでもらおうと、さらに仕事を一生懸命にやるようになるでしょう。その結果、顧客満足も高くなるに違いありません。
つまり、顧客満足につなげるためには、従業員を仕事そのもの、仕事の結果などで満足させる必要があるのです。もちろん、労働条件や給与が劣悪で、大きな不満を持たせてしまっては意味がありません。
衛生要因も動機付け要因も、どちらも重要です。それぞれが、どんな影響があるかを把握して、うまく対応することが重要になります。
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