せっかく研修に行かせたのに!研修費用をムダにしないための3つの作戦(その2:選抜メンバー作戦)
前回に引き続き、研修費用をムダにしないための作戦についてご紹介します。
今回は、「選抜メンバー作戦」です。
さて、「選抜メンバー作戦」とは何か?
と、その前に、研修費用をムダにしないためには、どこに着目しておけば良いのかをお話ししておきます。
どうすれば研修費用をムダにしないで済むのか?
というのは、ここで紹介している「研修費用をムダにしないための3つの作戦」というのは、あくまでも一例(3つありますが…)です。
具体的な例があった方がイメージしやすいので、いくつかの例をご紹介しています。
でも、実際にやる場合には、そのときそのときの状況、研修の目的などによって、作戦を考えていかなければいけません。
そのためには、この作戦は何を狙っているのか?ということを知っておく必要があるのです。
つまりは、研修費用をムダにしないために、どんなことに気をつけておけば良いのかを、きちんと理解しておく必要があるのです。
研修内容が実践で活かされ、成果になればいいのだが…
研修費用がムダじゃなかったと思えるのは、研修でやった内容を理解し、それを実践で活用し、結果として何らかの成果が出たときでしょう。
- 研修に参加して行動が変わる。
- 研修に参加して考え方が変わる。
- 研修に参加して意識が変わる。
などなど、何らかの変化があれば、まあ効果はあったかなと思えるかもしれませんね。
でも、理想は、何らかの変化があるだけではなく、そこから成果が生まれることでしょう。
では、そうするためにはどうしたらよいのでしょうか?
ポイントは、意欲・行動・継続の3つ!
そのポイントは3つあります。
1.意欲
1つは、意欲です。
意欲とは、研修に参加するにあたっての前向きな気持ちもそうですし、研修参加後に学んだことを活かしていこうというものもそうです。
当たり前の話なんですが、参加者本人が、積極的に学ぼうと思ったり、前向きに取り組もうと思ったりしなければ、どんな研修もあまり役に立ちません。
ですから、意欲を持たせることが重要です。
2.行動
2つめは行動です。
よくありがちなのは、研修直後はやる気満々で、やや興奮気味なのに、一夜明けると冷静になり、3日も経てば元通り…という、そのときだけ症候群です。
これは、結局、行動しようという意志が弱かったり、そもそも行動する気がないことが原因です。
問題なのは、本人があまりそれを意識していないこと。研修に参加して、「良いことを学んだな」と気持ちよくなっていて、それだけで満足し、完結してしまっているのです。
そして、そのことを問題だとは認識していない。だから、何も起こらない。行動も起こさない。
どの研修もそうだと思うのですが、研修中には、行動が大事なことを口が酸っぱくなるほど伝えているはずなんですけどね…
3.継続
そして3つめは継続です。
研修の直後は、意欲もあり、行動しようという意志もあり、実際に行動もして、効果があったと思っていたのに、気がついたら元通り・・・
これもよくあるパターンです。
そうならないように、継続できる仕組みをつくっておくと良いですね。
仕組みまでいかなくても、上司が時々思い出させてあげるだけでも効果はあると思います。
ということで、研修費用をムダにしないためには、
- 参加者に研修に対する「意欲」を持たせる
- 研修で学んだことを活かして「行動」するよう仕向ける
- 研修の効果が「継続」するよう仕組みをつくる
という、3つが大切です。
で、ようやく、今日の「選抜メンバー作戦」についてです。
「選抜メンバー作戦」とは?
選抜メンバー作戦とは、その名の通りメンバーを選抜するということです。
研修に誰を参加させるのかを決めるということですね。
「なんだよ、そんなこと別に作戦でも何でもないじゃん…」
そう思われるかもしれませんが、単に選抜するだけで終わらないようにすることで、きちんと作戦としての効果が発揮されるのです。
やることは3つ。
- 研修を実施すること(受けさせること)を周知する
- 選抜メンバーに選ばれたことを伝える
- 誰が選ばれたかを周知する
では、それぞれをご説明します。
といっても、やることは、文字通りなんですけどね。
研修を実施すること(受けさせること)を周知する
最初に、今度こんな研修を実施することを全社員に伝えます。あるいは、こんな研修に誰かを参加させるでも構いません。
同時に、なぜそうするのかを伝えます。
なるべくなら、全社の将来に大きな影響を及ぼすような、戦略的な狙いがあると良いですね。
でも、ウソはいけません。
どこかでばれますから。
で、どうしてこんなことをみんなに伝えるのかといえば、社長がどんなことを考えているのかを伝えるのとともに、この研修に参加するということはとても重要なことなんだと、意識付けするためです。
参加する人も、参加しない人も、この研修は会社にとって重要な意味を持っていて、それに参加することはとても重要なことなんだと思うようにすることが、ここでの目的です。
そうすることで、研修参加者の自尊心をくすぐるのと同時に、参加意欲を高めようという訳です。
選抜メンバーに選ばれたことを伝える
次は、研修参加者に対して、「あなたが選ばれました」ということを伝えます。
そのとき必ず言うべきことは、以下の通り。
- なぜ、あなたが選ばれたのか?
- 何を学んで欲しいのか?
- 研修後にどんな成果を期待しているのか?
- 研修に積極的に参加するよう要請
- あなたの将来に対する期待
基本的にはこのような内容ですが、ポイントは、研修参加意欲を高めるということ。
そのために効果がありそうなら、ドンドンアレンジして下さい!
誰が選ばれたかを周知する
そして最後に、研修参加者を全員に伝えます。
どう伝えるかは、いろいろです。
書面でも良いですし、各部署の朝礼で伝えても構いません。
特別感を演出するなら、全体会議(特に緊急招集すると特別感が増します)で大々的に発表するというのも一つの手でしょう。
ポイントは、選ばれた人にとって、いい意味でのプレッシャーを与えること。
また、選ばれなかった人にとって、次は選ばれるようにしようとか、負けないようにがんばろうとか、前向きな動機付けにつなげること。
くれぐれも注意しなければいけないのは
「研修なんて面倒だから、参加しなくて済んでラッキー!」
などと思わせることです。
そう思われるような研修は、それこそ費用のムダづかいですよね!
「選抜メンバー作戦」は主に「意欲」を高めるために使う
さて、最後に確認ですが、この「選抜メンバー作戦」は何を狙っているのか?
それは、研修参加者の意欲を高めるということです。
研修に参加することが、その人のモチベーションを高め、意識や行動変化のきっかけになるようにすることです。
その目的を外さないように、企画・実行してみてください。
「選抜メンバー作戦」の落とし穴
最後の最後、これが本当に最後ですが、この「選抜メンバー作戦」は、諸刃の剣にもなるので、注意してください。
一部の人が選ばれるというのは、それが特別感を生みます。
それがいい影響を及ぼしているときは、選ばれた人のモチベーションも高くなりますし、それ以外の人の意欲を高めることにもなります。
でも、その特別感が、悪い影響を及ぼすこともあります。
「不公平感」「嫉妬」につながることもあるということです。
そうすると、まずは周りからモチベーションが下がったり、参加者の足を引っ張るようなことが起こったり、何らかの問題が発生します。
あからさまな問題につながらなくても、社員の意識の中に不満がくすぶるというリスクもあります。
ですから、この作戦を実行する場合は、こういった落とし穴も理解の上、取り組んでみてくださいね。
では、次回は、研修費用をムダにしないための作戦「その3:みんなやってるよ作戦」をご紹介します。
お楽しみに!